08/12の日記

19:22
8月12日 (ぱっつぁんハピバ小説)
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「なぁ土方くぅん、銀さん、お願いがあるんだけどぉ〜」


「っ…な、なんだ」


普段2人っきりの時だってイチャイチャするのがあまり好きではない銀時が、甘えた声で自分にすり寄って来た事に、土方は驚きながらも内心かなり嬉しく思う。


だってここは万事屋の居間で、目の前には万事屋の従業員、新八と神楽が居るのに。と、土方はソワソワ ワクワクする。


「あのなぁ?銀さん今日とぉ〜ってもすき焼きが食いたいの。でも家にはお肉を買う金も、お野菜を買う金も、ついでにデザートのケーキを買う金も無いの」


土方は、何だそんな魂胆か、と思いつつも銀時に甘えられるのも嬉しく、そして土方は銀時にどこまでも甘い為、その要求を何の躊躇いもなく良しとする。


「分かった。
財布置いてってやっから好きなもん買え」


土方の言葉を聞き、銀時はキラキラと瞳を煌めかせた。


「サンキュー土方!
やったな新八。喜べ。これで今日は豪華な誕生日パーティーが出来るぞ!!」


「すみません土方さん。僕の為に」


新八は銀時から土方へ視線を移し、ペコリと頭を下げながら言った。


そこで土方は眉を寄せる。


「ちょっと待て。
何だ、その‘誕生日パーティー’ってのは。‘僕の為に’ってのは」


「だって今日新八の誕生日だもん」


銀時の言葉に、土方はムスッと機嫌を損ねた様な顔をした。


「つまり何か?お前はわざわざメガネの為に俺に甘えて来た訳か?」


銀時にとって新八が大切な存在で、でもそれは 弟の様な、時には息子の様な、家族そのものである存在で、それ以上でも以下でもない事は分かっている。


分かってはいるが、
銀時が大切にしている男などと言う存在は、やっぱり面白くはない。どうしても、嫉妬しないでおくなど無理な事だった。


そんな恋人(土方)の気持ちに前から気づいていた銀時は、みるみる嫉妬心を丸出しにしていく土方に、ため息混じりで‘たく、しょうがねぇなぁ’と心で呟く。


そして 新八、神楽へ視線を向け、少しそっぽ向いとけ。と目と顎を使い伝える。


「「…」」


2人は察し、素直に無言のままフイッと横を向き、新八はテレビを、神楽は定春を視界に入れる。


それを確認すると、銀時は土方に接近。


「っ…」


ピクリと肩を揺らした土方の耳元で、土方にしか聞こえない小さな声を掛ける。


「新八は大切だけど、でも‘こんな事’は出来ないだろ?だって家族だもん」


そして銀時は、チュッと軽く触れる程度の可愛いキスをする。もちろん唇に。


「っ…」


土方は銀時からの‘行為’に、顔を真っ赤にして瞳孔をいつも以上に開いた。


「でも土方は恋人(大切)だからこう言う事も出来る」


銀時は再び土方の唇を奪う。


「だから機嫌直せよ、なっ?」


首をカクリと可愛く傾げ、上目遣いで見てくる銀時に、土方は鼻血ブー寸前。


「べ、別に俺は、はなっから機嫌が悪かった訳じゃ…」


フッちょろいな、と思いながらも銀時はニコリと微笑んだ。


「だよね。あっ土方も新八の誕生日パーティー参加しろよ?土方がいなきゃ、俺寂しいし…」


「っ…ぎ、銀時っ!!」


土方の扱いが上手い。と、新八も神楽も未だ銀時達を見ないまま感心し、万事屋(うち)に仕事が無くても土方と言う名の財布がある限り、食費に困る事はないんだろうな、と確信していたのでありました。




【end】




(おまけ)


それは8月12日、土方が万事屋を訪ねてくる数時間前の朝の事。


「よぉ、新八、おはよ」


「おはようございます、銀さん」


自宅から出勤して来た新八は、居間で会った銀時と挨拶を交わす。


新八が来て最初にする仕事、それは壁に掛けてある日めくりカレンダーの前日分をビリッと破る事。日付が11日から12日になった時、銀時はおもむろに言った。


「そういやぁ、お前今日、誕生日だな?」


「えっ…」


「おめっとさん」


「あ…ありがとうございます」


そんな風に素直に祝ってもらえるとは思ってもいなかったのか、新八は銀時の言葉に照れくさそうに、それでも嬉しそうに頬を染める。


「僕も今日から17かぁ」


染々と言う新八に、銀時は呆れた様な顔を向けた。


「は?16だろ、お前」


「え、いや、僕今までが16だったんで…」


「なに言ってんだ新八。俺ら基本サザ○さん方式で歳とらねぇんだから、1年先だろうが5年先だろうがお前は永遠に16歳だろ?」


「まぁ、そうなんですけど…」


「そんな事よりよぉ、新八」


「そんな事って…。何ですか?銀さん」


「今日なにが食いたい?夜、お前のリクエストで誕生日パーティーしてやるよ」


「え、ん〜…そうですね、すき焼き、とかですかね。ごちそうって感じなんで」


もちろん、すき焼きなんて、今の万事屋(うち)にはそんな予算は無いだろうと分かっていた新八は冗談のつもりだったのだが…、


「ん、すき焼きな。でっかいバースデーケーキも付けてやんよ」


銀時の返事に、えっと目を丸める。


「心配すんな。財布(アテ)ならある」


新八の不思議そうな表情を見て、銀時はニヤリとほくそ笑む。そんな銀時に、新八は、あぁ、土方さんか。と予想をつけた。


そして、案の定この後、土方は銀時にタカられる事となったのでありました。




(あとがき)


はいっ、ぱっつぁん誕生日おめでとう!!

本当は何にもしないつもりだったけど←
急遽、書いてみた(笑)

結局は土銀の話だけど、これは間違いなく ぱっつぁんのハピバ記念小説でっす!

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