11/22の日記
07:07
1122
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ある平日の朝、前々から有給休暇の予約をし、この日に休みを得ていた土方は 両手いっぱいに荷物を抱え、愛しい愛しい銀時に会う為、万事屋を訪ねた。
「あれ?どうしたの土方くん。こんな朝っぱらから、そんな荷物いっぱい持って…」
色とりどりのキレイで大きな花束、高級ケーキ店の箱、有名ソムリエがプロデュースしたワイン専門店の包み紙、超美味しいと評判のホテイチ惣菜店の包み紙、それらを持って現れた土方に、特別、約束をしていた覚えのない銀時は首を傾げる。
「いや、折角なんだから、こう…盛大に祝おうと思ってな」
「………祝う?」
土方の言葉に銀時は益々首を傾げる。
今日、って何かの記念日だったか?
なんつうか…ほんと何気にマメだよなコイツ。にしても…すげぇ張り切り様だな。先月の俺の誕生日並みじゃねぇか。
と、考えながら銀時はふと思い当たった。
「あぁ!そっか!今日お前の誕生日?おめっとさん」
「アホか俺の誕生日は半年前に済んでるだろうが。二人で祝ったのもう忘れたか?
あんなにロマンチックな夜を過ごしたじゃねぇか!あの時、お前ほんっっっと、めちゃくちゃ可愛かったよな。酔った顔で色っぽくトロンと俺を見つめてよぉ…、
‘トシ、今日はトシの誕生日なんだから銀さん何でも言う事聞いてあげちゃう。
何が欲しい?なにして欲しい?それとも『銀さん』が丸々全部欲しい?いいよ?あげちゃう。いっぱいもらって下さい’
とか、呂律の回らない舌ったらずな甘えた口調で言っちゃったりなんかして 珍しくお前の方から積極的に誘って来てよ…」
「すみませんほんの冗談のつもりだったんです。だからその口閉じて下さい。思い出を語り出さないで下さい!薄ら寒いんで!
…て言うか マジで今日って何の日よ?」
「今日が何月何日かよく考えてみろ」
「えぇ?えっと、今日って……11月の…22日、だろ?………分かんねぇよ」
考えても分からず、銀時は眉を寄せる。
「ヒント1、俺たちの為にある様な日だ」
「あぁ?……ぁ、ホモカップルデー?」
「ちげぇよ。だいちお前、俺はホモじゃねぇ!っていっつも言ってんだろうが」
「そうですよ!?別に銀さんホモじゃないもん。土方だけ特別だっただけで。でも思い当たらないから一応答えただけじゃん!」
「……(俺だけ特別。嬉しい事言ってくれるじゃねぇか。ほんと可愛い奴め)
ゴホンッ。じゃあヒント2、語呂合わせ」
「分かんねぇよ」
「ヒント1ん時みたいに少しは考えろよ。…まぁいい。今日は‘良い夫婦の日’だ」
「……………………は?」
「いや、だから今日は良い夫婦の日だ」
確かに11月22日の語呂合わせで、いい夫婦の日、というのは聞いた事がある。
…で?だから何だと言うのだ。何で今日が自分たちの為にある様な日なのだ?
何で盛大に祝う必要があるのだ!?
銀時がそう考え悩んでいると、それに気づいたのか、土方は口を開いた。
「俺たちってもう夫婦みたいなもんだろ?だったら祝っとかなきゃってなるだろ」
「は、ぁあ!?」
「そりゃあ、男同士な訳だし、正式に夫婦にはなれねぇ。でも俺たちって、自他共に認めてる仲だろ?夫婦同然だろ?」
「誰が自他共に認めてる仲だ!?何が夫婦同然だ?(ほんっと恥ずかしい奴///)」
「おい、知ってるか?『理想の有名人夫婦』ランキングってのがあってな?三浦○和&山口百○夫妻が6年連続で1位だったらしいんだ。そのポジションよぉ、もし俺たちが有名人だったら、俺と銀時だったよな?きっと。いや、絶対」
「は?」
何を真面目な顔して…。正式な夫婦な訳でもないのに、男同士なのに、なのに…そんな事、この男は本気で言っているのか?
と、銀時は呆れながらも、しかしその頬を土方が持って来た花束よりもキレイに薔薇色に染めた。心なしか嬉しそうに。
「…………なんか、甘すぎて気持ち悪いアル。酢こんぶ食べたくなってきたネ」
「僕、うめぼし…」
さて、そんなバカップルの様子を居間からそっと覗いていた新八と神楽は、余りの甘い雰囲気に、吐糖寸前だったとか。
そして、銀時、土方はこの日、子供逹には とても見せられない今なんかよりも もっともっと甘い甘い一時(ひととき)を二人きりで過ごす事になるのでした。
【end】
(あとがき)
毎度の事ながら落ちに悩んだ…。
理想の夫婦ランキングってのをね、アッ○におまかせの芸能ニュースで見てさ、土銀を思い浮かべちゃったんで書いてみた(笑)
ほら、あの番組って何とか1週間のナレーション土方さん役の中井さんだし←
ちなみに、この作品の読み方は[せんひゃく にじゅうに]では無く[いちいち にぃにぃ]でも無く、これで【いい ふうふ】です。
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