12/24の日記
18:11
クリスマスイブ
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12月24日、クリスマスイブだからといって、休みを希望してまで一緒に過ごしたい恋人は俺には居ない。
したがって今日も普通に仕事だ。
…………………まぁ、片想いの相手なら…居るんだが…。
その想い人の住む かぶき町を、日も暮れた頃、俺は巡回で通り掛かった。
人が賑わう商店街、ある一角に、見覚えのある銀色頭を見掛けた。 いや、見覚えはあるが、見覚えのない姿をしていた。
「お、おまっ…な、なんつう格好して…」
「あれ?土方くんじゃん」
声を掛けられる程に近付いた時、口を開けば、俺の想い人、坂田 銀時は俺へと振り向いた。
俺はというと、イブに好きな人に逢えた事の嬉しさよりも、目の前の銀時の格好への驚きが勝ち、目を見開き彼を凝視した。
「…なんつう格好って、見て分かんだろ?サンタさんだよ。サンタさん!!」
そう。銀時は真っ赤な衣装のサンタクロースの格好をしていた。
問題なのは、何で普通のサンタではなく、わざわざ女装姿なのか、という事だ。
そう。銀時は、女のサンタの姿をしていた。カツラなのか付け毛なのか、頭の横で髪を2つに結っている。
上は まぁ、これぞ定番!といった具合の普通のサンタだが、下が…。
ヒラヒラと波うつミニスカート。
綺麗な足を隠さない為にか、ロングブーツではなく、短めのブーツを履いている。
って言うか、ミニスカから覗くスラリと伸びた白く長い足。な、生足…。肉付きの良い太もも。が、旨そうで、
ゴクッと無意識にも生唾を飲み込んだ。
な、なんで女装?……って言うか、やべぇ、滅多に見れないであろう銀時のレアな格好にテンションが上がる。
そこで俺の疑問が伝わったのか、銀時は口を開いた。
「これも立派なお仕事な訳よ。呼び込みのな。ま、後で店にも出るけどよ」
見れば、銀時は確かにプラカードの様な物を持っており、そこには‘かまっ子倶楽部’と書かれていた。
成る程、ここは人通りの多い商店街だからな。呼び込みにはもってこいな場所か…。
そこで俺はハッとした。そうだよ!!
ここは大勢の人が行き交う商店街。
カッと独占欲が沸き上がる。そして思わず口が勝手に動き、まるで八つ当たり。
「んな猥褻物を誰彼かまわず見せびらかしてんじゃねぇよ!!」
「はっ?わいせつぶつぅ!?どういう意味だコラッ!銀さんの生足は汚いってか?」
ちげぇよ。欲情するって言ってんだ気付けよバカ。この天然エロ美人がっ!!
お前のその生足、太ももは男の‘ソレ’に匹敵するぐらい卑猥だっつってんだ。
だってほら、銀時の スカートから覗く太もも見てるだけで勃ってきたもん。
……って言うかアレ? 何か俺、軽く勃ってきたんですけど!?銀時の生足見て興奮するのは仕方ないとして、勃たせるって、俺は童貞のガキかよっ!?
俺の真意など分かる由もない銀時は、
「ったく何だよ、失礼な奴だなぁ!」
と拗ねた様に頬を膨らませていた。
可愛いな、おい。
ハッ!って言うかコイツさっき、呼び込みの後は店に出るっつってたよな!!?
「ダメだっ!!」
「…は?」
「店に出るなんて許さん!!呼び込みも今すぐ止めろ!」
「は、え…いや。は?
何で俺がこの仕事すんのに土方(おまえ)に許可を得なきゃなんねぇんだよ」
「うるさい。何でもいいからダメなもんはダメだ。かまっ子倶楽部(そこ)で貰える給料の倍額俺が出すから止めろ。分かったな?」
「えっ、マジで?倍額!?いいの?
あ………、まぁそりゃ有難いけど、急に俺が抜けると店にも迷惑かかるし…。
倍額は捨てがたい提案だけど、無理だわ」
「それなら心配する必要はねぇ。俺が代わりの者を用意する」
「……代わり?」
銀時が不思議そうに首を傾げている間に(やっぱり可愛いな、おい)俺は懐から携帯を取り出した。
ある番号にかけ、相手が出ると、
「山崎か、至急かぶき町商店街に来い。お前には特別任務にあたってもらう」
一方的に言い、
よく状況をのみ込めていない山崎が『は、はいっ』と、戸惑いながらも返事をしたのを確認してから俺は電話を切った。
「俺の代わりってジミーくん?」
自分の代わりが山崎な事に納得がいってない様子の銀時。
ま、当然だな。
銀時の代わりなのに山崎じゃあな。
だが、
「心配いらねぇよ。山崎は地味だ。地味だからこそ化粧映えするもんなんだ」
ま、それでも銀時には劣るだろうがな。本来なら山崎の分際で銀時の代わりだなんてオコガマシイが、緊急事態だ。しょうがねぇ。
「いや、そういう事を言ってる訳じゃねぇんだけど…。
見た目なんてどうでもいいんだよ。ほとんど化け物みたいな奴しかいねぇ店だし。
俺が言いたいのはだなぁ、年末だし、真選組って忙しいんじゃねぇの?大事な人手をこんな事に回していいのかよ?って事なんですけど!?」
っ…。真選組(おれ)の心配してくれんのか?優しいな、おい。
見た目も良くて中身も良いって、世の性格悪い女どもが嫉妬するぞ、こりゃあ。
「その点の心配もいらねぇ。大丈夫だ」
山崎が抜けた所で、痛手になる様な大きな事件も仕事も今日はねぇからな。
「………そ? じゃあまぁ…。
でもさ、何で土方くんはわざわざポケットマネーで出してまでこんな事すんの?」
「えっ…………」
[side 銀時]
「いや、べっ…別に、ふ、深い意味は……ねぇ」
俺の質問に、土方くんは急に慌てた素振りで口ごもる。その頬は赤く染まっていた。
「…ふーん?」
………あぁーあ。 ここで‘お前の事が好きだから他の奴にお前の素肌さらしたそんな姿見せたくないんだ!’って男らしく告白してくれば一気にポイントアップなのに…、
付き合って欲しい!
とか言って告白してくれば、一緒に甘いクリスマスが過ごせたかも知れないのに…。
土方くんのヘタレばか。
俺、土方くんから告白して来なきゃ俺の気持ちなんて、教えてあげないからね?
………でもま、イブに土方くんに会えて嬉しいから、土方くんのお金目当てを装おって、晩ご飯、誘ってみようかな?
お酒でも入って、酔った勢いで俺を押し倒す!!なんて度胸は無いだろうけど…。
それぐらいの野獣さを見せてみろ。
そしたら、即オーケーで俺たちは すぐにでも恋人同士になれるのにな。
本当、勿体ない事してるよ?土方くんは。………ま、俺もなんだろうけどさ。
【end】
(あとがき)
はい。実は両想いでした。いつまでも告白してこない土方さんに痺れを切らして銀ちゃんから告白して2人は付き合う事になるって落ちが裏設定であります(笑)
メリークリスマス♪
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