12/24の日記

14:46
来年こそは きっと
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(まえがき)



現代パロ。土銀の二人は幼馴染みで、恋人という訳ではないが、両想い。
周囲から見れば両想いだってバレバレなのに本人達だけ気づいてない感じ。
土方、サラリーマン。
銀時、フリーター。
銀ちゃんには放浪癖がある。
旅好きでバイトで金を貯めては世界各国を巡るのが趣味というか、もはや生き甲斐。


オチは特にないです。

オチは特にないです。
大事な事なんで2回いいました。
そして山場も特にないです←


では本編です↓













「あっ土方ぁー!お久!つーか寒いっ!腹減ったぁー!なんかおごってぇ!!」


「っ…銀時っ!お前…」


銀時が土方の目の前に姿を表したのは実に3ヶ月ぶりであった。


三連休の最終日、朝食でも買いにコンビニに行こうと玄関の扉を開けた直後、その先、土方の部屋の真ん前。アパートの廊下に立っていた銀時は言ったのだった。


「ははっ、すげータイミング。ちょうど今インターフォン押そうと思ってたとこなんだぜ?」


ニコニコと笑顔を見せる銀時に対し、土方は驚きで目を丸めていた。


「いつ日本に…」


「ん?今日。さっきさっき!空港から直接土方ん所来たんだもん」


「そ、そうか…」


久しぶりに会えた事、まず一番に自分に会いに来てくれた事が嬉しくて土方の心臓は高鳴った。


「まぁ、こんな所じゃなんだし、とりあえず家ん中に入って…あ、腹減ってんだったな?俺も朝飯で出るとこだったんだ。モーニングメニューがあるファミレスでも行くか?」


一人ならばコンビニ飯で充分だが、銀時も一緒だ。ファミレスの方が良いかも知れない、と土方は提案する。


「うんっ!」


昔から変わらず自分に優しい土方に銀時は嬉しくなり、心があたたかくなった。



◇◇◇


「で?今回はどこに行ってたんだ?」


移動したファミレス店内、コーヒーカップを傾け、土方は質問をする。すると、モグモグと可愛らしい仕草でスクランブルエッグを食べてから銀時は答えた。


「ネクロゴンド」


「…どこだよ」


「まぁ、観光するような所はない田舎なんだけどよ、村の人たちがみんな超いい人ばっかなの」


「ほぉー、そうか」


「うん。俺の事、みんな親身になって応援してくれたし」


「応援?なんの?」


「そりゃーお前、こ…」


言いかけて銀時はハッとして言葉を切った。


「こ?」


土方はコップを置き、タバコに火をつけながら首を傾げる。


「あ、いやっ…こ…こ〜…今度の旅行先での語学の事とかさ。ほら、言葉通じねぇと何かと不便じゃん?やっぱ」


じつは、銀時はネクロゴンドに滞在中のある日、酒を飲んでついうっかり打ち明けてしまったのだ。同性である幼馴染みに恋をしていると。すると、ネクロゴンドの人達は頑張れと銀時の恋を応援してくれた。


しかし、恋の応援をしてくれた。などとそんな事、想い人である張本人の土方に言える訳もなく、銀時は適当に誤魔化した。


「……そうか」


うまく誤魔化せはしたが、銀時の言葉に、土方は もう次の旅の事を考えているのか、と寂しい気持ちになってしまった。


「今度の旅は…、いつ頃になりそうなんだ?」


ふぅっと煙をはき聞くと、銀時はパクっとかじったトーストを飲み込んでから答える。


「ん〜…暫くは日本(こっち)に居るかなぁ。土方と一緒に年越したいし」


これだ。銀時はこうやってナチュラルにこんな事を言ってくるから困る。と、土方は眉を寄せた。


「あ、他に用事ある?」


「いや、別にねぇから構わねぇよ」


「ん。じゃあ年越しそば食って、神社にお詣り行こうな。あ、なんだったらさ、正月、近場の温泉でも行こうぜ?」


「あ、あぁ」


ニコニコっとそれは楽しそうに計画をたてる銀時に土方は困惑する。
銀時は いったい、どういうつもりなのだろう。彼は日本に居る時は、時間が空けば大抵を土方と共に過ごそうとする。


気がねなく長旅ができ、何日も家を空けても平気なように、銀時は実家暮らしだ。だから、いい年をしても就職もせず、好き放題に生きている事で親に対して肩身の狭い思いをするのが嫌で、一人暮らしで入り浸りやすい自分の所に来ているだけなのかも知れない。


知れないが、自分と過ごす事を楽しそうに、嬉しそうに話す銀時を見ては、期待してしまっても仕方ないじゃないか、と土方は心の中でひっそりとため息。


それに今だって、こんな無防備に…。
わざわざ、ではないかも知れない。きっと、ただの偶然だろうとは思うが、


「…なんで、わざわざ今日帰って来たんだ?」


今日。そう、今日は12月24日。クリスマスイブだ。こんな日は、どうせなら大切な人と過ごしたいものだ。だから、わざわざであって欲しい、と、土方はあえてこの言葉を選んで口にした。


「ん?そんなの、土方と一緒にクリスマス過ごす為に決まってんじゃん」


何の事はないとばかりに言ってのける銀時に、やっぱりこの日を選んで帰国したんだ、と土方の心臓はますます高鳴る。


「あ、他に何か予定あった?」


「い、いや。別にねぇよ」


「そ、良かったぁ。じゃあさ、じゃあさ、ケンタでチキン買ってさ、どっかケーキ屋でケーキも買ってさ、あ、ちゃんとデカイやつな!んで、土方ん家でクリスマス会しよ」


ニコニコ笑顔の銀時に土方のドキドキは止まらない。


あれ?これ、銀時って…もしかして、俺の事…、す、好きなんじゃ…。いや、あくまでも友達としてって意味での好きって可能性の方が高いんだから期待すんな自分!


と、土方はそんな考えで頭を回転させるが、やはり弥が上でも期待はしてしまう。


こんな二人が恋人としてのクリスマスを一緒に過ごせるようになるのは、果たして何年後の事になるのだろうか。


来年こそは きっと。



【end】



メリークリスマス

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