02/26の日記

08:52
はじまり、はじまり
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(まえがき)


いつもお世話になっている時計うさぎ様へのプレゼントです。
ご本人のみお持ち帰り可。

土銀ですが、名前は出て来ないものの、
高銀要素を匂わせる場面があります。


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仲間じゃない。


友達じゃない。


かと言って、ただの顔見知りってんでもない気がする。


俺と‘アイツ’との関係を何と呼べばいいのだろうか?


そう考えた時、出てきた答えは‘腐れ縁’だった。


顔は、まぁ、銀さんと比べれば見劣りは仕方ないけどイケメンっちゃあ中々のイケメンだし、給料も、警察官な訳だし、公務員だから銀さんと比べればいっぱい貰ってる訳で…。しかも副長だから平より当然イイ。ムカつくけどイケメンだし、マヨだしニコチンだし瞳孔開いてるけどやっぱイケメンだし、気に入らねぇけど気になるっつうか…。


───腐れ縁。


俺とアイツ…、土方がこの関係でいる事を、最近、気に入らない自分が居たりする。


イライラする。


ムカムカする。


街中で、巡回中だったりの土方と会った時のアイツの俺への態度を思い出すと苛々する。


俺の存在に気づいて人の顔を見た瞬間、眉間にシワ寄せて迷惑そうな表情になりやがって…。


土方に、俺は嫌われているのだろうかと考えると、無性に腹が立つ。心が痛くて落ち込む。


何でだろう?


疑問に思ってはみたものの、答えはすぐに出た。


俺は、この感情の名前を知っている。


過去に一度だけ、これに似た、いや、同じ感情に包まれた事があったから。


もう二度とないって思ってた。俺には、一生に一度の出来事だと思ってた。


誰かに、恋をする事など。


それ程、初めての恋は俺にとって全てだった。俺の人生を、命をかけてもいいぐらい。


でも…、いつからか歯車は狂って、決別して、気持ちも冷めて…。初めての恋心は風化した。


あんなに俺の全てだった恋でも、今では胸を締め付ける事はないのだから、それ以上の出会いなんて、初めての恋以上に燃え上がる事が出来る相手なんて、現れる訳ないって思ってた。


きっともう、二度と誰かを好きになる事などないと思ってたのに、なのに…、そっか。


俺、いつの間にか土方に恋してたのか。


この恋が、初恋以上に燃え上がるのかは、まだ分からない。でも、今現在、俺が土方を好きな事に違いはない。


だから、土方に嫌われてるんじゃないかって思うとこんなにも胸が痛くて苦しいんだ。


二人が、腐れ縁なんて関係のままで終わるのが嫌なんだ。


そっか。そっか、そっか。


………………でもなぁ…、俺がいくら嫌っつっても、土方が俺と腐れ縁でいる関係ですら嫌がってたらどうするよ?


気に入らない奴に好意を(しかも‘そう言った’)寄せられてても迷惑でしかないだろうし…。


そもそも男同士で恋だの愛だの色恋沙汰なんて、気持ち悪がられたらどうしよう…。
二度と近寄るな、的な………。


………………………って!
だぁぁあぁあっ!!
あーだこーだ悩んでウジウジしてるなんざ俺らしくもねぇ!!


なるようになるっ!!
当たって砕けろだっ!!


いや、砕けちゃダメだけどさ。


「………よしっ!新八、神楽。ちょっくら出掛けて来るわ」


「え?パチンコですか?」


「いや。真選組の屯所」


「銀ちゃん、あんな所に何しに行くアルか?」


「うん。ちょっと告白しにな」


「「…………………は?」」














◇ ◇ ◇


銀時「たぁ〜のもぉ〜う!」


土方「っ…万事屋?」


銀時「あり?お前、出て来んの早くね?俺、まだ心の準備がっ…」


土方「タバコ。さっき吸い終わったのが最後だったからちょうど今から新しいやつ買いに行くとこだったんだよ。何だ?心の準備って。つーか、頼もう?
道場破りか何かか?」


銀時「……あのさ、土方くん。単刀直入に聞くけどよぉ…」


土方「なんだよ?」


銀時「………土方くん、俺の事、キライなの?」


土方「っ……は!?」


銀時「だってほら!お前って俺と顔を合わせる度に表情、険しくさせてさ、いかにも不機嫌!って難しい顔すんじゃん!?」


土方「………」


銀時「あ、ほら今も。
…でも、お前が俺をキライでもさっ、俺はお前の事がっ…」


土方「…れは、それはっ!お前の方だろうがっ!!」


銀時「……は、え??」


土方「他の奴にはニコニコ、ヘラヘラだらしねぇ顔で笑ってるくせして、俺だけにはいっつもムスッと機嫌悪そうな顔しか見せやがらねぇじゃねぇか!お前はっ、そんなに俺の事が嫌いなのかよっ!?」


銀時「……え?俺が?」


土方「他に誰が居る?」


銀時「……」


土方「おいっ?」


銀時「ちょっ…待って?
今、考えてるからっ!!!」


土方「は?」


銀時「………………あぁ、そっか。うん、そうだ。それって…多分、緊張、してたのかも」


土方「………緊張?」


銀時「他の奴って、沖田くんとか近藤とかって事だよな?だったら、自分にとってその他大勢の奴らと接する時と特別な奴と接する時は、そりゃあ態度が違って当然だろ!?」


土方「…そ、そうか?特別か。…………ん?何の話だ?特別って、誰が誰の?」


銀時「もー!今、お前の話してただろう?土方が!俺のっ!」


土方「そ、そうか。……ん?」


銀時「嫌いじゃないから!むしろ好きだから!大好きだから!土方は俺の特別だから。それって、恋心って意味だから!!」


土方「……………」


銀時「……土方…くん?」


土方「………」


銀時「………やっぱり、迷惑、だった?」


土方「…………っ(ボボボッ!」


銀時「……ん?(何だ?なんか急に顔がすげぇ真っ赤に…)」


思いもよらなかった銀時の想いにテンパり、固まってしまった土方は、この数分後、無事、復活し、実は自分も好きで、同じ想いであったと告白をし返す事となり、後に二人は周囲も認めるバカップルとなる。


めでたし、めでたし。



【end】

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