07/08の日記
22:43
7月8日 (沖銀)
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「あ、総一郎くんじゃん」
「総悟でさァ旦那」
パチンコからの帰り道、途中、近道の為か公園を通った時、見知った顔をベンチで発見した銀時は喋りかけた。
「今日もサボり?」
銀時に気づくと座り直したが、今の今までベンチで横になって明らかにサボっていたのは、真選組一番隊隊長、沖田総悟である。
「何ですかィ?今日‘も’ってのは。それじゃあ俺がいつもサボってるみたいじゃねぇですか」
「サボってんだろうが」
「サボってねぇです。俺は仕事が何より一番大事な根っからの真面目人間なんでさァ」
「…頭のソレなんだよ」
「アイマスクでさァ。旦那、そんな事も知らねぇんですかぃ?」
「……何で仕事するのにアイマスクがいるんだよ、たくっ…」
銀時は呆れたように呟くと、手元の紙袋をガサガサと漁った。
「パチンコですかィ?」
「まーな」
「景品があるって事は勝ったって事ですよねィ?こりゃ〜珍しい事もあるもんだ」
「………まーな」
沖田の言葉に、まぁ真実とは言え、少々ムッとするが、しかしそれでも銀時は袋の中から景品であるお菓子を取り出し、そのまま沖田に差し出した。
「ほれ」
「……何ですかィ?」
「やる。銀さんが糖分、分けてやるなんて珍しいからね?味わってありがた〜く食えよ?」
本当に珍しいその態度にキョトンとした顔をした沖田に銀時はニッと口角を上げ笑った。
「ハピバ〜総一郎くん」
「っ…」
銀時の一言に沖田は目を見開いた。知っていたのか。率直にそう思った。まさか、知ってくれているとは思わず、反応に遅れてボケッとしてしまった。
銀時は、そんな、いつまでもお菓子の箱を受け取らない沖田の胸ポケットに勝手に箱を入れた。
「じゃあな。
サボるのも程々にしとけよ?ひとつ大人になったんだからよ」
どことなく優しい眼差しでそんな事を言った銀時が、何の反応も見せられずただ座っていただけの沖田の前から立ち去って行ってどれぐらい後だったか…、沖田はボボボッと顔を真っ赤にして手のひらで口元を押さえた。
「……総悟でさァ、旦那」
もう片方の手は、心臓を服の上からギュッと握る。
「……何だこれ…めちゃくちゃ…嬉しい…。こんな…ただのパチンコの景品で…そこら辺でだって簡単に手に入るような、安物なのに…。くれた事にだって、特別な意味なんて…ないだろうって分かるのに。つーか、勿体なくて食えるかよっ…」
ニヤけそうになるのを我慢しながら沖田は呟く。
その日、結局、沖田は仕事どころではなくなり、やっぱりサボり続けたのだった。
(おまけ)
「 (ぅおー、ヤベぇ。めっちゃ銀さんの手ぇプルプル震えてんじゃん!大丈夫だったかな?不自然な所とか無かったよな?別に、沖田くんの誕生日でって託つけてパチンコの景品あげるの変じゃねぇよな!?顔見知り程度の仲でもやったりするよな?別に俺の気持ち、気づかれてねぇよなっ!!?
いい歳したおっさんが未成年のガキ相手にこんな緊張して…情けねぇな。でも……仕方ねぇよな…、好きなんだからよぉ) 」
(あとがき)
沖田さんHappy Birthday!
今日が沖田さんの誕生日だって気づいたの実は夕方過ぎで、急きょ作成しました(笑)間に合って良かったぁ(^-^;
この話の沖田さんと銀ちゃんはそのうち付き合うって未来があるって事でお願いしまーす。
でも、この二人は、別に誕生日だとかクリスマスだとかバレンタインだとか、特別なイベントに合わせて告るとかってんじゃなくて、お互いに付き合いたいって本気で思った時にどっちからともなく、告白する、みたいな感じです。
まだね、この日の段階では、二人ともお互いを好きは好きだけど、本気で付き合いたい!って思ってる訳じゃなかったんですよ。何かあるじゃん?相手の事をただ好きでいられるだけで幸せな時期、みたいなさ。
この日はそんな頃だったんですって裏設定です。
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