Novel

□潜在者奇譚
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ふいに背筋が寒くなってきた。

見知らぬ青年二人に実名で呼びとめられ、意味不明な言葉を投げかけられたのだ。これは相当キケンな状況なのではないか?

さしあたって何故、実名を知っているかは置いておこう。問題はこの二人の動向だ、「きめりんす」
とか何とか言ってダンマリを決め込み、こちらの反応を待っている二人。ここで誤った選択をすれば全てを拒否するような電子音と共に床がカパッ!と開き水槽にドボン!といったバラエティ番組でよくある罰ゲームが待っているものだが、今の自分にはもれなくナイフでザックリ!やフルボッコのうえサイフ没収!といった罰ゲームが待っていると思われた。

心臓の動悸が速まり、心がパニックを起こしそうになってきた。

 「ソレ」に対処法を聞きたい欲求が急激に膨らんできたそのときふと、奇妙な感覚に襲われた。

脳が胃の辺りまで下がりこむような妙な感覚。

上下不覚なめまいが襲いかかる。

次の瞬間、体の自由が効かなくなった。
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