□サイゴ。
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(佐助視点)


竜の城にお忍びで入った。いつもの部屋を目指す。
足元からギシっという音が聞こえた。


「ありゃりゃ。忍が音たてちまったぜェ。ちょっと鈍ったかな??」

アハハと笑いながら前に進むと前方に人影があるのに気づいた。


スっ!!!っと隠れ人が過ぎるのをまった。
人影は右目の旦那のものだった。


「政宗様・・・」

つぶやく右目の旦那の目には、見たことのない涙が見えた。

俺は黙って見ていた。
いつも見せないガード堅い右目の旦那が、今はすごく無防備だった。


過ぎ去った旦那を見て、俺は竜の部屋へとこっそり入った。

そこにはさっきも見た光景と、まったく重なっていた。
竜が泣いていた。


『ぅっ・・・っ・・・』

顔に手をあてていて顔は見えなかった。

驚く竜の顔はなかった。

「竜・・・」

つぶやく俺様に気づいたのか、俺様の方を見た。


『忍・・・なにしに来た。』


「竜・・・どうしたんだよ。」


『HAッ!!別にテメーなんかにカンケーねぇよ...。』


「手、震えてるケド??」

竜はガタガタと震えていた。
強がっていた体がみるみるうちにくずれていった。
涙が止まらないくらい泣いていた。
俺は竜に近づいた。


『同情なら帰れよ・・・』


「同情なんかじゃない・・・」


『なぁ。俺・・・』


「ん??なに??」


『俺が・・・死んだら、どうする??』


「え??」


今の言葉が俺様の心に強く突き刺さった。













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