□泣きたいトキには
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秋だった。




俺様が最後に泣いたのは。
10歳の秋だった。


その時、なんで泣いたかなんて覚えちゃいない。ただ、あれ以来泣いてない事は覚えてる。


悲しい時も、辛い時も、泣いていなかった。

ただ、我慢していただけ。

忍になって、里を出て、泣きたい日だってあったのに、涙は一滴も出なかった。


俺様は泣くことを忘れた。



涙の出し方がわからなくなっていた。













★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


━ある日の午後。

俺様はそっと城を出た。理由なんてない。
ただ、散歩気分で城を出た。




静かだった。夜でもないのに、あたりは静まり返っていた。



カサッ―…





『よぉ。忍さんよ』



ニッコリと笑う竜がいた。



「竜!!今日はどうしたの??こんなとこまで来て。」

俺様は竜のもとへと駆け寄った。だけど、いつもの竜と違うことくらい察してた。


「・・・竜???」


『・・・・。ッ悪りぃー!!ボーとしてた;』


「・・・そっか。」


何かに悩まされているのか、竜の顔は冴えなかった。


「なぁ、竜。」

『Ah??』

「なにしに...来たの??」

疑ってるわけじゃない。ただ竜の様子が変だから。気になってるだけなんだ。

『・・・。そ、そんなことより...散歩でもしねぇか??』


「・・・うん。」


まんまと話を変えられた。相当、言いたくないらしい。





歩いて数分。

ついた場所は、特にこれと言って素晴らしい場所ではなかった。


ただ、花が一面に敷き詰められていて、空がすごく綺麗に見える丘だった。


何のために、竜が俺様を連れてきたのかまったくわからないが、
竜の顔が少し柔らかく見えた。


「竜??」

『ココよ。俺が初めてお前のトコに行った時に、立ち寄った場所なんだよ。』

竜が初めて、俺様に会いに行った時に立ち寄った場所・・・

『この丘から見える景色がすきでな。
ずっと忘れられないんだ。』

村からちょっと離れた小さな丘。
長年この地に居たというのに、まったくこの丘の存在を知らなかった。

それを、竜がみつけた


「うん。本当にきれいだね。」

そう返すと、竜が小さく微笑んだ。

『忍よォ。』

「??ん??なに??」

『お前に言わなきゃならねぇことがあんだよ・・・。』



















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