いち

□じらしてなんぼ!
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「雄二郎さん、もし俺があんたの事好きって言ったらどうする?」


『どうするって…とりあえず、原稿が先だろ』


「ちゃんと答えろよ」


ちゃんと答えるだけむだ。
福田くんはいっつも突拍子もないことを言ってくる。

前に来た時は、


「俺のこと、もっとちゃんとみろよ」


なんて、わけのわからない事言っていた。


あの人は俺にどうして欲しいのか、ほんとまったくわからない。


『んじゃ俺戻るけど、また金曜くらいに来るからね』

かるく手を振り、玄関に向かう。

さっきの問いなんて聞かなかった事にして。


「ちょ、ゆーじろう!」


不意に腕をつかまれ、そしてあったかい所におさめられた。


『…ふ、ふくだくん』


「お、おれ!ゆ、雄二郎が、えっと…」


『…と、とりあえず、離そうか?』


「だめ」


『なんで』


「ちゃんと聞いてほしい」

『…聞いてるよ、だから離そうか』


「…このまま」


離してくれそうにないので、小さくため息をつき、福田くんの顔をみた。


「雄二郎」


『はい?』


きだっ」


あまりの声のでかさ(まぁ最初の1文字だけだけど)におどろいた。



「…な、なんかいえよ」


テレた福田くんは頭をぐしゃぐしゃしてきた。


『うん、まぁ考えとく』


「なんだよそれ!」




じらしてなんぼ!




ほんとは答えは決まってるけど、まぁ焦らしてみるのもいいよね。










じらしてなんぼ!
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