いち
□会いにいく
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『もしもし、どうしたの?』
声の持ち主は福田くんだった。
今日の夕方に原稿を取りに行く予定だ。
「雄二郎さん、おれ…」
そう言って福田くんは黙ってしまった。
(こんな福田くん初めてだ)
どうした?って聞いたら、こう返ってきた。
「雄二郎に会いたい」
なんてもごもご小さい声で言うからちょっと笑ったらキレられた。
『夕方、そっち行く』
「今すぐこいよ」
『仕事あるんだ』
「俺より仕事かよ。つーか雄二郎さんも俺に早く会いたいだろ?」
『会いたいわけじゃないけど、福田くんがそんなに会いたいなら仕方ない。いまから行くよ』
偉そうだな。とか言って電話をきる福田くん。
それと同時に席を立ち、歩きはじめた。
なんだか少し顔がニヤけるのを抑え、気づくと鼻歌を歌いながら、君のもとに向かってた。
会いにいく
「おっ雄二郎さん」
「はは、鼻歌歌ってるよ…」
会いにいく
(10巻のネタを…)