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□だから、すきなの
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「ねぇねぇ、がっくーん」
午後の教室、俺の目の前にはまだ目覚めたてのジロー。
『なんだよ』
「ぽっきーちょうだいよー」
『そんなのねぇよ』
「うそだぁ。さっき忍足に貰ってたじゃーん」
『あぁ、みてたの?あれ宍戸にあげた』
「えー!なんでさぁ!」
『ジロー寝てたからあげちゃった』
「がっくんひどー」
『うっせ』
ジローの頭をぽんっと叩き、席をたつ。
「どっかいくの?」
『ポッキー食いたいんだろ?』
「がっくん買ってくれんのー?」
『宍戸からもらうの』
「それならいらないよー」
『なんでさ』
俺のあとをちょこちょことついてくるジローをみる。
「がっくんから貰わなきゃ意味ないの」
いきなり手をつかまれ、真剣な顔をしたジロー。
『な、なんでだよ』
「がっくんがすきだから!」
だから、すきなの
ふわふわの髪の毛が俺の頬にふれる。
ジローのにおいが、すき。
だから、すきなの
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