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□青のすもーく
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体育館うらの誰も来ない木陰。


口からけむりを出し、空へとはなつ。


「…千石」


『あぁ、南じゃん』


「おまえ…」


『ん?なに』


「タバコなんてやめろよ」

『なんで?』


深刻そうな顔で俺をみる南。

いや、もしかしたら軽蔑の目で俺を見ているのかもしれない。


「テニスしてんだし、お前まだ中学生だろ!」


『うん、そうだね』


「ならやめろよ!」


『どうしてやめなきゃ、いけないの』


「お前はバカなのか!」


俺の胸倉を掴みあげる南の息は荒い。


(あれてんなぁ、南ってば)


「あ…すまん。でも、理由だけでも教えてくれないか?」


『理由?そんなのないよ』

はなで笑い、南の手を振り払う。

そしてまた、けむりを出す。


「お前…らしくないな」


『ねぇ、俺らしいってなに?』


「…え?」


『南は何もわかってない。』


俺はいつの間にか南の上にいて、南の胸倉を掴みあげ、息を荒げ、叫んでいた。

『南に何がわかんだよ!』

呆然と俺を見つめる南。

タバコはもう、どこかに消えていた。


「…千石」


『南が俺の事わかる時は、お前も俺と同じ、今の俺になるよ』


手をはなし、ゆっくり立ち上がる。


この場から逃げるように去っていく。


ひどく暖かい、風におされて。




青のすもーく




南がバカと、こぼす。






青のすもーく
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