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□ばれんたいん
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最近、街を歩けばバレンタインで賑わっている。
とは言え、彼女とか好きな奴がいない俺には関係ないはなし。
そんな時に、隣にいた赤いおかっぱ頭が嬉しそうに跳びはねた。
『今年もきたなぁ!バレンタイン』
「…あ?まぁ、な」
『なんだよ宍戸、嬉しくねーのか?』
「あたりまえだろ、なんで嬉しくなんだよ」
『だってチョコ貰えるしよー!あ、そっかぁ、宍戸は毎年貰わねーもんなっ』
にひひっといやみたっぷりに笑う岳人を睨むと、
『っんだよ、ほんとのことだろ』
と言って口を膨らます。
「どこがほんとだよ、貰ってるっつーの」
『あぁ、お母さんね、はいはーい』
手でやれやれとポーズをすると、呆れて俺をみるが、口元はバカにしていた。
「っば、ちげーよ!」
『じゃあなに?だれなの』
ちょっとだけ不服そうに見るその瞳。
そっと髪の毛に触れると、なんだよ、と呟いた。
「おまえだ、忘れんなばーか」
ばれんたいん
『去年あげたっけ?』
「わすれんな!」
惚けてみせる岳人だけど、満面の笑みをみせてくる。
忘れたなんてうそだなぁ、ってつられて笑った。
ばれんたいん
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