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□さよなら、卒業
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『よう、ジロー』


春の屋上。
まだ少しさむい屋上。


もう来ることはない、今日で最後。


「がっくん、どうしたのー」


『お前の事みんな探してたぜ』


俺の隣に座るがっくん。
これも今日で最後。


「がっくんも探しに来てくれたんだー?」


『んーまぁな』


ケータイを出して電話をし始めた。

ジローいたよー。なんて言って、たぶん忍足かな。


『お前ほんとここ好きだよな』


「うん、がっくんも好きでしょ?」


『まぁな』


へへって笑うがっくん。


(あーあ、外部受験なんてしなきゃよかった。)


みんなとさよなら、この校舎ともさよなら。


となりの君ともさよなら。

『そろそろみんなのとこ行こーぜ』


「そーだね」


立ち上がって空をみたら、なんだか目のあたりがじんじんしてきた。


(これってさみしいのかな)

とか思ってぼーっとしてたらドアの方からがっくんの声が聞こえた。


『ジロー先いくぞー!はやくこいよー』


「いまいくー!」


ドアの方へ向かうと、ほんの少しだけ頬がぬれた。


「…もう少し、頑張ればよかったなぁ」




さよなら、卒業




好きな君といられるほんのわずかな時間でした。










さよなら、卒業
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