□きくなよ、ばか
1ページ/1ページ





俺はなんてばかなんだ。


敵であるあいつを好きになるなんて。



ほんとに、ばかだ。




「りゅーうっ!」



月1度だけ会える日。


真夜中の風が、あいつと一緒に入ってくる。



『また来たのか』


「うん、会いたくて」


そう言いながら、そっとふとんの中に入ってきた。


『ふとんから出ろ』


「いーじゃんかべつにー」

頬を膨らますと、勢いよくふとんを被った。


『なら、俺がでる』





「…でるなよ」


『……っ』


捕まれた右手を払い、縁側へ向かう。


「つめたいね」


『俺はお前がきらいだ』


「そうなんだ」


『そのまぬけな顔も、へらへらした所も』






『全部きらい…っな、はずなの、にっ』


「りゅう?」


『…っなんできらい、っなのに』



「なんで、泣いてるの?」



『…ないて、ねぇーよ』



頬に生ぬるい、涙がたれる。


それを消すかのように、忍は俺の頬に、キスをする。



「好きだよ、竜は?」





『…っきくなよ、ばか』





きくなよ、ばか








きくなよ、ばか
_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ