企画
□ヒキコモリライフ
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夏だ!
夏休みだ!
この不良で目付きの悪い俺、高杉晋助に可愛い彼女ができて最初の夏だ。
「なぁ、海行かね―?」
お前の水着見たいし。
「え―暑いじゃん」
「じゃ、祭りは?」
浴衣とか萌えるし。
「めんどくさ―い」
「お前、何?一生部屋から出ないつもりかよ?」
独り暮らしの俺の家に、夏休みだけと言って転がりこんできた、隣の部屋に住んでいる同じく独り暮らしなこいつ。
偶然に偶然が重なって俺たちは晴れて恋人同士になったわけだが…。
こいつ、
俺の部屋に棲み始めてから昼間は外へでない。炊事洗濯はしてくれるが買い物は夜でないと渋る。いや、夜でもか。
まったく、どこの引きこもりだお前は。
「だって焼けるし暑いしだるいし」
「お前なぁ…」
はぁ、とため息。
いつから俺はこんな世話焼きキャラになったんだ?
「い―じゃん」
「なにが」
「わたしは晋助と一緒にいられるだけでいいの―。」
………………こいつ。
「晋助はわたしがひとりじめしたいの―!」
くそ、ヤベェ
素知らぬふりして雑誌を読んでいるこいつは、耳まで真っ赤に染まっていて。
隠しきれてねぇよ、なんて俺もだけど。
ああ、駄目だな。
こいつといると俺の目付きの悪さも、ポーカーフェイスも崩れ去る。
「――――」
彼女の真っ赤な耳元に、ガラにもなく愛を囁いてみた。
ヒキコモリライフ
(こんな夏休みも、いいかもな)
end
企画サイト ソーダ水さまに提出いたします。