T&B

□ストーカー編ご
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『ただいま電話に出ることが出来ません。
発信音の後に、お名前とご用件をお話しください。』

ピーッ

「何で出ないのよ?」

ブルーローズことカリーナ・ライルは、自身のポーターの中で携帯を弄っていた。
まだブルーローズの衣装を着ているので、端から見れば少し違和感を感じてしまう光景である。
とりあえず、また後でかけ直そう。
あまりしつこくやってしまうのも、好まれないだろうし。
カリーナは運転手にジャスティスタワーに向かってもらうように指示を出した。



「やぁ、ブルーローズ君!
今日は大活躍だったね、格好良かった実に格好良かった!」

「スカイハイの言う通りだよね。
ブルーローズが居なかったら、もっと酷いことになってたと思う!」

「ぼ、僕もそう思います・・・」

「確かに、ポイントを取られたのも仕方ありませんね。」

「バニーちゃん空気読めよ!あれだな、お前のおかげで助かったぜ!」

「今日は氷のキレも、ポーズのキレも一段と良かったわよん!」

「と言うわけで、明日は休日だし皆で牛角に行くぞ!」

おーっ!とヒーローズ(当事者のカリーナとバーナビー以外)が盛り上がった。
バーナビーはつい、と眼鏡を上げただけで何も言わないが少し楽しそうに思える。
カリーナは思いっきり頷いた後、ちょっと待ってと言って携帯を取り出した。

「ブルーローズ、機嫌治って良かったね!」

「え?」

「こら、ドラゴンキッド!」

ドラゴンキッドことホアン・パオリンがニコニコとカリーナに話す。
実は最近様子が変だったカリーナのために、前から計画してあったことのようだ。
それがちょうど、今日の救出劇と重なったのである。

「彼とは仲直り出来たのね?」

「まぁ、喧嘩していたわけじゃないけどね!」

カリーナの言葉に、ネイサンとホアンは顔を見合わせて笑った。

「家に電話するなら、遅くなるってちゃんと言うんだぞ。」

「分かってるってば。もう一件、かけなきゃいけないの。」

「あら、彼のところにラブコールかしら?」

「ラブコール!」

「ちょっと、ラブコールなんかじゃないってば、もう!」

ピリリ、と誰かの携帯が鳴り始めた。
カリーナの物ではない。

「誰か携帯鳴ってるぞ!」

「すまん、俺だ。」

「お前ならラブコールってことぁねぇな」

「虎徹、お前だけ自腹な」

からかってくる虎徹は置いといて、携帯の持ち主であるロックバイソンことアントニオは電話に出る。
カリーナも英の番号を出しているときに、電話がかかってきた。
かけてきたのは、英の妹である桜からだった。
カリーナは首をかしげ、電話に出る。

『あ、カリーナお姉ちゃん?桜です。』

「どうしたの、桜ちゃん?」

『お兄ちゃんが帰ってこないんだけど、何か知らない?』

「英が?」

時計を見れば時刻は八時を回っている。
高校生ならまだ外で遊んでいても可笑しくない時間ではある。
だが英の性格上、いつもより遅かったりすれば必ず連絡を入れたりするはずだ。

「ごめん、分からないわ。
他の人・・・ベルマンとかにも聞いてみるね。」

『分かった!ごめんねカリーナお姉ちゃん。』

「ううん、じゃあまたね。」

ピッと携帯を切るカリーナ。
その顔は、先程とは打って変わって蒼白になっている。
信じられないけど、信じたくないけど、もしかして。
嫌な想像ばかりが膨らんできて、カリーナは携帯を握りしめた。
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