T&B

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「いいないいな、英ずるい!」

「やっぱり、実物も超ハンサム?」

「やばいやばい超ハンサム!
女性ファンがすぐに出来るのも頷けるハンサムだな!」

高校、休み時間。
英の周りには友人がたくさん集まっていた。
いつもの仲間ではあるが、今日は特に英の話を聞きたくて彼らは集まっていた。
英の友人の一人であるフレディが、前のHERO TVで壊れたスケートリンクから出てくる英を発見したのだ。
キラキラとした目を向けるフレディに気分をよくした英は、いつもより饒舌だ。

「て言うかさ、ワイルドタイガーの新しいヒーロースーツも生で見ちゃったんだよね!」

「あーいいいい、ワイルドタイガーはいいから。」

「お前ら酷いぞ!」

「あそこにブルーローズ居ただろ、見た?」

「見た見たバッチリ。あの台詞が聞けなかったのは残念だったんだけどね。」

“あの台詞”、と言うのはヒーローブルーローズの決め台詞だ。
ブルーローズと言えば、キューティーエスケープとペプシとこの台詞だろう。

「“私の氷はちょっぴりコールド、あなたの悪事を完全ホールド!”」

ブルーローズの武器“フリージングリキッドガン”を持っているふりをしてフレディがポーズを決める。
フレディの裏声に英達は爆笑したが、ブルーローズファンはキレた。

「てめぇ、気持ち悪いんだよ!ローズちゃんに謝れ!」

「ローズちゃんってお前ェ・・・」

「キューティーさが足りない!そんでもって可愛くない!」

「はいはい、悪かったよ。」



少し離れた場所で友達とお菓子を食べていたカリーナ。
ブルーローズの真似をするフレディの声を聞いて、チョコがけプレッツェルが勢いよく折れた。
折れた半分は、手でキャッチする。

「うちのクラスってヒーローマニア多いよね。ま、ベルマンが居るから仕方ないか。」

「ちょっとカリーナ?口元にチョコ付いてるわよ?」

「ええ!?うそ、やだ!」

カリーナはポーチからティッシュを取り出して口元を拭く。
食べていたお菓子が空になったので、そのまま空き箱にゴミを入れた。

「カリーナ今日数学の補習だっけ?待ってるから久しぶりに三人で帰らない?」

「いいね、そうしよう!カリーナもいいでしょ?」

「うん!」

久々の放課後。
最近のカリーナは、ブルーローズとしての出動が多くて友人とも遊べていなかった。
補習が終わったら、買い物したり食事をするのがいいかもしれない。
そんなことを考えながら、カリーナは午後の授業を受けていた。
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