T&B

□ストーカー編ご
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「ブルーローズ?」

「ちょっと、どうしたのよ?」

様子の可笑しいブルーローズに、ホアンとネイサンは動揺する。
一方、三人から少し離れた場所で電話をしているアントニオも耳を疑った。

「あぁ分かった、落ち着けって。お前が焦ってどうする。
アイツももう高校生だし、彼女の一人や二人と・・・はいはい、分かったから。
日付変わっても連絡無かったら警察に連絡するんだ。おう、じゃあな。」

神妙な面持ちで電話を切る。
その様子が気になって、虎徹はアントニオに話しかけた。

「何だ何だ?どうしたアントン?」

「お前、英知ってるよな?」

「知ってるぞ。英がどうかしたのか?」

「俺の所のヒーロー事業部に英の親父が居るのは知ってるだろ?
今の電話はそいつからで、英が家にまだ帰ってきていなくて連絡も付かないみたいなんだ。
英はしっかりしているから心配要らないとは言ったが・・・」

両方の会話を聞ける位置に居たバーナビーは、眉をしかめた。
アントニオと虎徹の会話はネイサンも聞いており、アントニオに確認する。
トレーニングジム内の空気が一瞬にして不穏なものとなった。

「その、英さんが外出して遊んでるって可能性は?だってまだ高校生でしょう。」

イワンが発言をし、それに対してバーナビーも頷いた。
携帯を持っていても電源を切っているだけかもしれない。
親に連絡をしない、ということだって十分にある話だ。
むしろ律儀に親に連絡している方が希少価値が高い。
だが、イワンの言葉にカリーナが頭を横に振った。

「あり得ないわ。遊んでいるにしても、英は必ず連絡する。
英の両親は、もちろん妹の桜ちゃんに対してもそうだけど、誰とどこに何時に帰るのか、きちんと伝えなさいって厳しいみたいだから。」

「ねぇ、ブルーローズ」

ホアンが手を上げて疑問に思ったことを尋ねた。

「その、英お兄さん?だっけ。
話はずれちゃうけど、何でそんなに過保護にされてるの?
妹さんだけならまだ僕にも分かるんだけど・・・」

「それは・・・」

カリーナは言葉を濁らせる。
事情は知っているが、話していいのか戸惑ってしまう。
カリーナの気持ちを察したアントニオは彼女の肩を軽く叩く。
自分が代わりに話すという言葉の代わりであった。

「英がシュテルンビルトに引っ越した頃、一回誘拐されかけているんだよ。」

ええっ、と事情を知らないヒーロー達はどよめきたつ。

「幸い連れ去られた場所の近くに虎徹がいてな、すぐに英を連れ戻したんだ。
英が覚えてるかどうかは分からないが、両親は違う。
慣れない土地で幼い子供を誘拐されたんだからな、まだまだ心配なんだろう。」

「桜ちゃんなんて、確かお守り代わりに携帯とは別にGPS持たされてるって楓から聞いた。
英は流石に持たされていないみたいだけど・・・」

「それは、過保護にもなるわね。」

ネイサンは頬に手を当てて納得したように頷いた。
祝賀ムードもへったくれもない。
しん、と静まり返る中でバーナビーはカリーナに話しかけた。

「ブルーローズさん」

「何よ、ハンサム。」

「さっきの電話、彼の妹さんからでしょう?貴女が言っていた“ベルマン”という人に電話した方が良いのでは?」

「そ、そうね!」

フレデリック・ベルマンは英の親友である。
彼なら何か知っているはずだ。
携帯でフレディの番号を探し、すぐに電話をかける。
数回のコールの後、フレディが電話に出た。

『何々?ライルが俺に電話なんて珍しいじゃん。』

「ねぇ、英と一緒にいる?」

『居ねぇよ?だって今日は一緒に帰ってもないし・・・』

ハッとして、カリーナは藁にもすがる思いでフレディに言った。

「そうよ、ねぇ、リェナ・プロッサーのアドレス知らない?
ほら、隣のクラスの―――」

あんた達が騒ぎ立てていた可愛い女の子。
可愛い女の子が好きなフレディなら、リェナのアドレスを持っているかもしれない。
彼女と英が一緒に帰っているのは確定事項だ。

『リェナ・プロッサー?』

「そうそう、」
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