企画物

□誰よりも君が
2ページ/2ページ



―――泣き虫だなぁ、ねえちゃん

そんなに泣かれたら、オレ困っちゃうよ

だから泣かないで




レナ―――




「ねえちゃん!」

「っ、ふ、フレディ?」

レナは、祓い手たちの集まる場所“村”に保護されている。
ここはその“村”の一角にある建物内。
あの事件の後、大老士となったフレディの仕事場兼家である。
フレディが仕事をしている傍ら、レナはその近くで寝てしまっていたのだ。
琥珀色の瞳が、眠たげに彼女よりも幼い少年を捉えた。

「ちゃんと本読んでないよ・・・」

「え?あぁ・・・うん」

レナの気の抜けた返事に、フレディはがくっと肩が落ちる。
レナの手には分厚い本、内容もまだ子供のレナには難しい本が、彼女の手の中にある。
“初代様の再来”と言われる程優秀なフレディがパラパラと捲っても、少しばかり難解だと感じる。
相変わらずレナの従者は色んな意味で鬼畜だ、とフレディは思った。
(後が怖いので本人には内緒)

「読めって言われたんだろ?怒られちゃうかもよ?」

「大丈夫!アーウィン、今日は怒らないって言ってた!」

(今日“は”かよ!しかも他の日は毎日怒られてんのか!?)

フレディは、思わず心の中でツッコミをしてしまう。
だが、「えへへ」とほんわか笑うレナに自然と口元が緩む。


「フレディ?」

「な、何?」

覗き込んでくる仕草や
自分の名前を呼ぶ声や
柔らかそうな髪の毛や
温かさを感じる瞳の色を
フレディは無意識に“可愛い”と感じてしまう。

「顔が赤いよ?」

「〜〜〜〜っ気のせいだから!」

フレディはレナの手の中にある本を引ったくって顔を隠した。
その必死な行動を見て、レナは小さく笑う。
もう夕飯の時間だから、と言ってフレディはレナの手を握ると部屋を出てリビングへ向かう。
振り替えることはしなかったが、手を引かれているレナからは赤くなったフレディの耳が丸見えだった。



レナは夢を見ていた。
とても怖かった過去を、頭の中で夢としてもう一度再現していたのだ。
血の色に染まったフレディの瞳。
冷たくなったフレディの体。
彼の手には銃が握られていて、銃口は彼の口の中に収まっていた。
叫ぶ自分と、それを黙って押さえていたアーウィン。
響く銃声と、飛び散る赤。

再会するときは、自分があの世に逝ってからだと思っていた。
だけど“奇跡”が起きて、フレディはレナの手を握っている。
レナは“奇跡”の正体をまだ知らないが、そんなことは関係なかった。
自分を守ってくれた小さいけど頼もしい背中を、レナはもう一度見ることが出来たのだ。



「フレディ・・・」

「何?」

「いなくならないでね」

央魔のレナは不老不死だ。
一方のフレディは(レナから授血に近いものを受けたが)人間だ。
いつかは別れるときが来る。

「フレディごめん、いきなり変なこと言って」

「いなくならない、から・・・」

「え?」

「俺は、ねえちゃんが・・・レナの、ことが・・・」




―誰よりも君が―

好き、なんだ・・・





7thBV全クリ記念。
鬼畜なアーウィンさんが、ラブラブなフレレナ見て初代様に相談するのが好き。
「ちょ、フレディがレナに近すぎる・・・どうすればいいんだフレデリック」
みたいな^p^
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ