FT短編

□哂う獣
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知りたい。

知りたい、こいつの事が。


グレイは柔らかな頬に手を掛けて、くいと上に向かせた。


「な、に……ぅんッ」


目を見開く少年に構わず口付け、無遠慮に舌で口内を掻きまわした。ぴちゃりと響く唾液の音。双方の息遣いが、耳につく。


「ん……ふ、はっ……」


薄く開く唇の隙間から強引に舌をねじ込んで、奥で縮こまる柔い舌を絡め取っては蹂躙する。まるで口から麻薬でも吸っているかと思う位に、少年の唇はグレイを夢中にさせた。

僅かに堪能した後、名残惜しいと思いながらも離れ、互いの舌に透明な糸が引く。眼前には口付で目を蕩けさせた少年が、酸欠からか恥ずかしいのか、或いはその両方か、頬を赤く染めながら肩を喘がせていて、力なくグレイに寄り掛かっていた。


「なあ、お前のこともっと教えろよ」


寄り掛かってくる少年に、言い様のない感情が胸を支配する。状況に頭が付いて行かないのか、琥珀色の瞳はただグレイを見つめるばかりだった。

グレイは少年を担ぎあげると近くの茂みに身を隠す。そして、優しく横たわらせた少年を組み敷いて、その首筋に顔を埋めた。


「え、や……痛ッ」


きつく肌を吸いあげて赤い痕を残す。痛みに震えた箇所を今度は慰めるように舌で舐めて、身体を弄る。服の隙間から手を差し込んで直接肌に触れると、その肌は手に吸いつく程に触り心地がよかった。


「やッ…ん…!」


か細く上がった悲鳴。グレイの手は色づいた胸の突起に触れていた。その時やっと抵抗を見せた少年の手が、グレイの肩を掴んで押しやろうと力を込めた。しかし、人間並みの力しか出ない今の身体での抵抗は、グレイの前では無意味。地面に縫いとめる事など簡単だった。


「いや…だっ……や、ぁ……なん、で」


胸の突起を舐められ、食まれ、吸いつかれて、緩やかな刺激にびくびくと小さく身体を震わせながら言葉を紡ぐ。


「よく知らねえ生き物のこと、もっと知りたいって思うのは当然のことだろ?」


つまりは、そう言う事だ。


この少年の、心も体も何もかもが知りたい。

濡れた突起にかかる息にさえも小さく身体を震わせ喘ぐ少年は、まるで淫魔の様にグレイを誘惑してくる。少年の痴態に、グレイの中心にはすでに熱が集まっていた。


「や、やだ……ッ!」


かちゃりと少年のベルトをはずすと、そのままズボンごと下着を取り去る。隠そうと身を捻る間も与えず、グレイはしっかり反応している少年の昂りに触れた。


「ぁ!……ん、ひぁッ」


少年の性器を柔く包み込み、ゆっくり擦り上げればびくびくと身体が震え、その口からは甘い喘ぎが零れ落ちる。その間にもグレイは少年の肌を味わう様に舌を這わせた。


「ふ、ぅ…っ、やぁ……ッ!」


ひくん、と腰を引きつらせ、グレイに弄られている性器からは先走りが漏れてくる。

濡れたおかげで滑りやすくなり、扱き上げる速度は徐々に増していった。それに合わせて、少年を襲う快楽も増しているのだろう。高くなっていく喘ぎに、絶頂が近い事を悟ると、グレイは少年をうつ伏せにさせて腰を高く上げさせた。


「いい眺めだな、」

「ふっ……」


身体をいいように扱われて、少年が悔しげに唇を噛みながら腕に顔を埋めた。屈辱に歪んだ顔に、グレイは背筋にぞくぞくと何かが這いあがってくるのを感じる。

優しく扱う気はなかったが、少し慣らさないとこちらも痛い。それに無理やりされるよりもこちらの方が屈辱を覚えるだろうと、グレイは少年の双丘の狭間を押し広げ、蕾に舌を這わせた。


「ひぁ!?や、なんで…ッんなとこ」

「ここ使うんだよ、知らねぇのか」


魔族のくせに色事も知らないのか。何となく反応では分かっていたが、やはりこういったことは初めてなのかもしれない。


「ん、はぁ……ッ、やだ…ぁ」


逃げようとする少年の腰は、しっかり手で押さえているため動く事も出来ない。諦めて身を任せればいいモノをと思いながらも、その小さな抵抗が可愛らしくて逆に嗜虐心をそそる。


「あ……ッ、はぁ…ぅ、んん……っ」


触れてもいないのに、性器は先走りでしどどに濡れて、少年が感じていることが分かる。ぴちゃりと音を立てると恥ずかしそうに声が震えた。

弛みはじめる蕾に口の端を釣り上げると、ちゅ、と音を立てながら口を離す。安心したように力が抜けた所に、代わりのように指を潜り込ませれば、途端にびくりと震えた。


「や!ぬ、抜け……っ!」


拒絶の声を無視して、そのまま二本目を潜らせると、奥を拡張するように押し広げながらぐちゃぐちゃに掻きまわす。

頭を振りながら異物感に耐えようとしているのを見て、グレイは口元を歪めた。

少年の意に反して、生理的に分泌された腸液が蕾を柔らかく解していくのが分かり、そのまま奥へとねじ込むと、小さなしこりに指が届く。


「ぁあ……ッ!なんっ、いやぁ……ッ!」


そのしこりを重点的に弄ると、それまで気持ち悪そうに身を捩っていたのが嘘のように甘い声を上げる。乱れる姿に、口に溜まった唾液をごくりと飲みこんだ。


「やらしいなぁ、魔族だからか?気持ちいいの好きだろ、お前」

「ちがっ……」

「ここ、こんなにしてるくせに?」


潜り込ませた指を、わざと音が鳴るように動かせば、少年は顔を赤くして否定する。恥ずかしさからか、少年はとうとう泣きだしてしまった。

これじゃあどっちが悪者なのか分からない。

そう理解していても、グレイは止めることなど頭になかった。

頃合いだろうと、少年を仰向けに直して脚を大きく広げさせると、べルトの金具を外して自分のものを取りだし、熱く昂ったそれを露わになった蕾に押し付ける。そして、無遠慮に腰を推し進めた。


「ひ…っ、ああぁ!」

「キツっ……」


逃げようとする少年の腰を引き戻して、狭いそこを無理やり抉じ開けるように奥へと押し入る。

いくら慣らしたとはいえ、元々こんなことに使う器官ではないし、初めてというのもあるのだろう、そこはグレイを拒んでいた。しかし、柔らかな内壁は確実にグレイを締め付けて、快楽を与えてくる。


「いや……いた、いっ……痛っ、ぁ」


涙で顔をぐしゃぐしゃにして、身体を震わせて。我ながら酷い事をしているは分かっている。でも少年が、あまりにも自分を誘ってくるから悪いのだ。

痛みの所為だろう、少年のものはすっかり萎えてしまっていた。

痛いと訴えることにも構わずどんどん中へ押し入って、根元まですべておさまった所で、少年の耳元で熱い息を吐いた。


「なあ、名前教えてくれよ……」


痛みに震える少年に、そっと語りかける。優しく語りかけたつもりだったが、痛みと、これからされる事への恐怖で震えている少年には脅しの様に聞こえたかもしれない。少し時間を置いて、少年の口から小さく震えた声で紡がれた。グレイは、その言葉を口の中で確かめるようにしてから、口を開く。


「ナツ、」


名前を呼ぶと、じんわりと広がる熱い想い。

名を呼びながら、そっと少年――ナツに口付けて、グレイはゆっくりと律動を始めた。


「ふっ……、ん……ッ」


苦しそうに眉を寄せながら、手は力なく地面に投げ出されていた。

痛みからすっかり萎えてしまっているナツのものを手で包み込むと、ひくと腰が震える。軽く扱いてやると、そこは徐々に芯を持っていき、ナツの苦しげな喘ぎも少しだけ弱まった。


「ぁ…っ、あっ……くるしっ」

「少し、我慢してろ」


熱く息を吐きながら、遠慮も何もなく腰を打ちつけたいのを我慢して、大きさに慣らすようにゆっくりと律動を繰り返す。その間も前を擦り、胸の突起やその肌に吸いつきながら、ナツが慣れてくるのを少しずつ待った。

優しくしたかったわけじゃない。

けれど、色んなナツが知りたかった。泣き顔も悦ぶ顔も。


「っ、……ぁあッ、ん」


最初は苦しみにそまっていた喘ぎが、前を弄る手と律動により、段々と甲高い声の嬌声に変わっていく。最初は優しかった律動も、ナツが乱れていくと分かると、だんだんと激しくなっていった。


「あぁ…ッ!や、だ……あ、あっ…」


奥を突きながら確実にナツの感じる部分を擦り上げると、ナツも甘い声しか漏らさなくなった。繋がった部分から卑猥な音が辺りに響き、喘ぎ声と熱い吐息がまじって情交はどんどん色濃くなっていく。既にナツの前を弄っていた手は離れていた。けれど何もしなくてももう先走りでびしょびしょになっていて、いつ達してもおかしくはなかった。


「あ、ん……ゃあっ」

「ナツ……っ」

「ん、ふ………んッ」


蕩けきったナツの瞳に誘われるように口付る。頬に流れた涙を手で拭いながら、舌を絡ませて口を吸った。


まるで獣だ――。


噛みつくように首筋に歯を立てて、自分のものだという証拠を刻んでいく。殺したい程憎いはずの魔族の証にすら言い様のない想いが沸いてきて、堪らず口付けた。独占したい。全部知りたい。こんな熱い想いは始めてで、グレイは止める事ができなかった。

感情の昂りに反応するように、下半身にせり上がる絶頂感が律動を激しくさせる。


「やあ……ぁ、あッ……あぁあッ!」

「っ――――くッ」


身体を痙攣させながら、ナツの中心が爆ぜた。それと同時に奥がキツク締めあげてきて、その悦楽にグレイもナツの中で達した。

ぐちゃぐちゃになった下腹部と、溶けあう程に高まりあった二人は互いに息を荒くしながら余韻に浸る。

グレイが見下ろすと、ナツは肩で息をしながら宙を見つめていた。快楽に染まった琥珀色の瞳は壮絶な色香を放ち、グレイに再び熱を灯す。中で大きさを増した自身に気づいて、グレイは嘲るように笑うと、ナツの腰を掴み、再び腰を打ち付け始めた。


「な、やだ……っ、や……ぁ!」

「ナツ……!」


何かに取りつかれかのように、グレイはナツの身体を貪り続ける。滾った熱が治まる事はなく、狂ったような情交は、ナツが気を失うまで続いた―――。





***





朝日が昇ると同時に、狂宴はようやく幕を閉じた。

ぐちゃぐちゃになった身体を拭って、申し分程度に体裁を整えると、街に戻って一番最初に目についた宿屋に入った。そこの店主はどうやらナツの事を知っていたようで、しきりに心配していたが、まさか自分がこうさせたなどと言えるはずもなく咄嗟に嘘を吐いた。


なんとか誤魔化して、ナツを湯に入れて後始末をしてやり――今は静かに眠っている。


目を覚ました時、どういう反応を返されるかは想像はついていた。けれど、拒絶されてもいいから、この想いをナツに告げようと決めていた。

魔族と人間。相いれない二つの種族。結ばれるかどうかはまだ分からない。

けれど、デビルハンターとして名高いグレイは、一度狩ると決めた獲物は絶対に逃がさないと有名だった。

眠っているナツの手を取り、その功に口付ると、グレイの口元が弧を描く。その黒塗りの瞳は獲物を狙う肉食獣の様に細められていた。




















END

やっちまった感がありすぎる。殆どエロっていう……短編なのに長ぇっていう。そしてごめんよナツぅうう!!言い訳は日記で!





title/ヨルグのために

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