FT短編2
□ラストバレンタイン
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ずっと好きだった――なんて、そんな風には言えない。
たしかに好きだったけど、嫌いな時もあったから。
こんなにも人の心をかき乱して、苦しい想いしか残していかないあいつの事が大嫌いだった。けど、たまに見せる笑った顔だとか、面倒見が良くて優しい一面をみると、胸のあたりが痛くなる。きっかけなんて分からない。いつの間にか目があいつを追ってて――。
いつの間にか好きに、なってた。
でもこれは変だって分かっていたから、ずっと心に蓋をしてきた。近くにいられるだけで満足だって自分に言い聞かせて。何年も想いをひた隠しにしてずるずるずるずる引きずってきた。
時がたつにつれ擦り切れそうになる想いを手繰り寄せて、捨てればいいのに諦め悪く抱きしめて。もう限界だった。だからもう、終わりにするんだ。
――俺の為にも、グレイの為にも