FT短編
□小鳥は籠の中
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大きな鳥籠から取り出した桜色の鳥は、今は小さな籠の中で大人しく囀る。
「ぁ……あ……」
琥珀色の瞳を快楽で濡らしながら、甘い囀りを漏らす。念願は果たされ、世界が闇へと落ちた中、この小鳥だけが未だ光を放つ。けれど、それも閉じ込められているのでは何の意味も成さない。
「んぁあッ」
腹を貫く楔を最奥へ突き付ければ、喉を仰け反らせて気持ちよさそうに鳴く。ぎしぎしと寝台が軋み、鳴き声と共に部屋に響いた。荒い息を耳に吹きかければ、縮こまる様に肩を震わせる。
こんな状況でも光を失わない瞳が憎々しくて嗜虐心をそそった。
「ふ、っう、もう嫌だあ。ジェラー、ル…や」
弱音を上げる震えた声が、耳に心地いい。うっそりと笑えばナツの顔が悲しげに歪んだ。
何度も抱いた身体は、心が拒絶しても感じてしまうようだ。すっかり厭らしい身体にされて、淫乱と罵られて、可哀想に嗚咽を漏らすのだ。こんなに可愛らしい小鳥を誰が逃すものか。
出してしまったら、この闇に染まった世界でナツは目立ちすぎる。たちまち誰かに奪われてしまうだろう。
「お前はずっとここにいるんだ。俺の傍でずっと可愛く鳴いていろ」
籠の鳥は、籠の中で歌っているのがふさわしいのだから。