FT短編

□無防備ハニー
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※オリキャラ×ナツ要素あり















「っし、片付いたか?」


コキコキと首を鳴らしたグレイの周りには、凍り付けとなった魔物が数体。


「あっちも片付いた頃か?」


森の中。
黒い煙りが見える方に向かって歩いて行けば。


「お、グレイ!こっちは終わったぜ!」


笑顔で手を振るナツ。

ああこの野郎かわいいんだよくそ!!

とか思いながら辺りを見回すと、所々燃えている木々と黒焦げの魔物が。


「ったく…森が火事になったらどーすんだよ。」


そう言いながら、最早慣れた手つきで炎を消すグレイ。

自らの氷の魔法で炎を消していき、全て消し終わったところで手をパンパンと払った。


「うっし!じゃあ依頼主んトコ行こうぜ!」


ナツの言葉に、グレイは僅かに眉間にシワをよせた。


(…あの野郎、気に食わねェんだよな…)


今回の依頼主はとある街の領主の息子から。

街の近くの森から魔物が現れ、街を襲うようになったため退治してほしい、というのがクエストの依頼内容だった。


まずグレイとナツは、依頼を熟す前に依頼主に挨拶と詳しい話を聞くために会いに行ったのだが。


まだ若く、おそらくは20代頃。
赤みがかった茶髪に整った容姿。

女が見ればそりゃあイケメンだの何だのと騒ぐこと間違いなさそうなソイツだったが、とにかくグレイは気に入らないらしい。

と、いうのもその男。

会った側からナツにちょっかいばかりかけるのだ。

グレイのことなど見えていないかの如く見事にスルーで。


(あのセクハラ野郎…今度ナツに何かしやがったら、凍り付けにして海に沈めてやる…っ)


そんなことを考えていれば、すぐに依頼主の屋敷へと着いた。

ナツと共に、依頼主の男の執務室へと入ると。


「ああ、よかった!!」


がばっ、といきなりナツに抱き着いた男に、ピキッとグレイの額に血管が浮かんだ。


「わっ、く、苦しいってローズ!!」


依頼である領主の一人息子。
彼の名は"ヴィンセント=ローゼン"。

会って早々、ローズって呼んでくれ、なんて爽やか笑顔でナツに言っていた(もちろんグレイには目もくれず)


「ナツ、怪我はないか?ああ、本当に無事でよかった!」


ナツの顔を見て、もう一度抱きしめるローズにグレイが動いた。

ナツのマフラーをぐい、と引っ張り、ローズの腕から引きはがして自分の腕の中に納めた。


「…わりぃけど、ナツにあんま触らねぇでもらえますかね、ローゼンさん?」


物凄いイライラしながら言うグレイ。

若干周りに冷気が漏れているのは気のせいなんかじゃないだろう。


「え、ちょ、グレイ?」

「ふうん…なるほどね。…ああ、そうだ。言いコト教えてあげよう。」


そう言うとローズはグレイの腕の中に居るナツに近付き、そっとその桜色の髪にキスをした。


「…俺、人のモン程欲しくなるんだよね。」


…完全に空気が凍りついた…と共に。


「…アイスメイク…」


怒りの沸点を遥かに越えたグレイによって、


「ぐ、グレイ!?てめ、何する気…ッ」


ナツの制止も構わず、この屋敷は巨大な氷によって半壊したのだった。






















「…依頼主の屋敷半壊、依頼主に全治一ヶ月の重傷……はあ、お前らなぁ…まーた何をしとるんじゃ…」


ため息を吐きながら、マカロフはグレイとナツに言う。

あれからギルドへ帰って来たはいいが、結局グレイが屋敷で起こした事件によって、報酬はゼロ。


「知るか!グレイのバカが勝手にぶっ壊したんだよ!!」

「んだと!?元はと言えば、テメェが無自覚無防備なのがいけねェんだろうが!!」

「はあ!?何言ってんだお前!」

「テメェこそ何で気付かねェんだよ!あんな触らせやがって!!」


こうして、毎度恒例となった、氷と炎の喧嘩が始まったのだった。


「…平和ね。」

「そうね。」


ルーシィとミラはそんな二人を見ながらそう言って。

ああ、エルザがクエストに行っていてよかった、なんて少し思ったりした。












無防備ハニー

(お前はもっと自覚しろ!可愛すぎんだよバカ!)

(んな!?なッ、はあぁ!??// おまっ、ば、バカじゃねえの!?)


(…結局惚気になるのね、アイツらの場合…)

(ふふ、仲良しでいいじゃない)







end




『ストロベリードロップス』の宙さまから素敵過ぎる頂きもの。忙しい所ありがとうございます!upされたその日にガン見して速攻で貰ってしまいました!バーゲンセールのおばさんのように!すみませ!





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