短編2

□小話
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カウンターで煙草を吸いながらミラと談笑するあいつを、離れた場所から見る。



鼻が利くのもあるからか、俺は煙草のような刺激のあるニオイが苦手だ。だからこうやってなるべくニオイが届かない場所にいる。


俺が想いを自覚してからあいつは煙草を吸うようになった。最初の頃は少なかった本数も月日が経つにつれて目に見えて多くなっているようだ。

まるで察したかのように一致した時期。

近づくなと言われているようで、真ん中に近い部分がジクリと痛む。



グレイが俺の事を嫌ってるのは知ってる。
きっとあいつに嫌いなものは何か質問すれば、食べ物でも出来事でもなく、俺の事を言うんだろう。

そんなことは分かってる。

俺だって、グレイの事が嫌いだと答えるだろう。



自分の気持ちに嘘をついても。



―――グレイは知っているんだろか。

俺がこんな想いを向けてる、なんて。


きっと知らないんだろうな。
知ったらきっと気持ち悪がって近づいても来ないだろうし。
それこそ喧嘩なんてこともできないくらいに、俺を周りから排除しようとするんじゃないかと思う。

あいつはそんなにお人好しじゃない。


「……」


くん、と鼻を擽る煙草のニオイ。
あいつに纏わりつくようになったニオイ。












それに顔を顰めそうになって、ギルドを後にした。



























「あーあ……」


深呼吸するのと同時に、大きくため息を吐く。


肺に新鮮な空気が流れ込んではきたが、心の中は煙草の紫煙が纏わりつくかのようにどんよりしている。


絶対に叶わない想い。


俺だって最初は戸惑った。

絶対あいつなんかどんな意味でも好きにならないと思っていたのに。


(馬鹿みてー……)


俺ばっかり悩んで、振り回されて、それなのにあいつは何も知らないで。
無言で拒絶する、紫煙を纏った背中を思い出してまたジクリと中心部が痛む。


苦しい。

なんで、あんなやつ。


きっかけなんて本当に下らないもので、きっとあいつだって覚えていないような、そんなものだったのに。


下らなすぎて笑えてくる。





(イカレてる。それもかなり)










それでも捨てられない俺は、とんでもなく馬鹿だ。


















END







珍しくグレ←ナツでしたー。



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