FT短編2

□君は僕に充分な幸せを運んだ。天使でもこうは上手くいくまい
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ゼレフはいつもギルドの外で空を眺めていた。

一人で放浪していた時と変わらぬその景色に、何を思うでもなくただひたすら。時折空を切る鳥や、流れる雲を見ては心地のいい沈黙に身を任せるのが好きだった。それ以外にすることもなかったからだ。


「う〜…、」


隣で眠りにつくナツがもぞもぞと動く。動いて外れた布を掛けてやると、きゅっとそれを握ってふにゅふにゅと口を動かした。子供のような仕草に、ゼレフはくすりと笑みを浮かべた。

今はギルドに身を寄せているが、それは力が落ち着いている今だけ――また、いつ死の捕食が発動するのか分からない。そうなればまた一人放浪する事になるだろう。


「僕はどれくらい君の傍にいられるんだろう、」


ふわりとしたやわらかな髪を撫でると、その手にそっと触れるナツの暖かな手。


「ずっ……と、い……ろ、」


無意識に言われただろう言葉に、口元が緩む。けれど、同時にゼレフの目は泣きそうに歪んでいた。







僕の人生は大よそのことが不幸で占められているのだろう。だけれどほんの短い間に、君は僕に充分すぎるほどの幸福を運んでくれた。天使すらも蔑むであろう僕を、君は愛してくれるだろうか。

否、多くは望むまい。

せめて、残された僅かな時間をこの子と共に在れることを願おう。そしてその時間ができるだけ長い時間である事を――。











END














ヨユーの捏造^^!



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