FT短編2

□欲に掻き乱された体躯
1ページ/1ページ








ぴちゃりと響く水音が耳に障る。

後ろから抱きしめられ、膝の上に座らせられていた。

ジェラールの舌が項を舐めるたびに、ぞくぞくと背筋に得体のしれない感覚が走る。寒気がする様な、しかし身体は熱くなって喉の奥から勝手に妙な声が上がる。下肢に熱が集まりむず痒い様な感覚に襲われて、落ち着かなくて腰を揺らすと、待っていたと言わんばかりにジェラールはそこへ手を伸ばした。


「ジェラ、ル……やっぁ」


そこに触れられるのは嫌だと何度も言うのに、ナツの言葉に構うことなく触れてくる。

いつもナツの我儘を笑って許してくれるジェラールはそこにはいなかった。ナツの身体に触れる時、彼の優しい瞳は知らない色を灯して、ナツの言う事など何も聞いてくれなくなる。逆転する立場に戸惑いを覚えるのはいつもの事。

ジェラールの手に包まれるナツのものはだらしなく蜜を漏らし、厭らしい音を立てていた。

「ぁあっ」

ぐりぐりと窪みを擦られて身体が跳ねる。この追い詰められるような感覚にはいつも慣れない。

一瞬ふわりと意識が浮く。

強い波が襲うとびくびくと身体が震え、喉の奥から声にならない吐息が漏れる。震える体を押さえつけるようにジェラールの腕が締まり、吐き出すものを吐き出した身体からは力が抜けていった。


「沢山出たな、」

「う、るさいっ」


白い体液が伝う手を見せつけられて、頬が熱くなる。どこか楽しそうな様子に腹がたって息も絶え絶えになりながら睨みつけると、優しく笑みながらいなされる。それが気に食わない。


「、っ」


ナツ自身が吐き出した体液の付いた手が双丘を伝う。隠れるようにして存在する秘部に触れると、まずは一本探るように入ってきた。慣れない感覚。元々濡れているから何の抵抗もなく侵入するジェラールの指。長い指の感触が内壁に伝うたびナツは息を詰まらせた。


「は、ぁ……っぅ、」


もっと――。

喉まで出かかった言葉を辛うじて呑みこみ、歯を食いしばる。

最初は気持ち悪かった。

だって自分の中に他人のものが入ってくるあの感覚。気持ち悪さ。異物感。一点を突かれた途端にそれは霧散してしまったけれど、それでもまだ違和感があった。しかし、今ではもう中に入られるのに何の抵抗も感じない。この行為を気持ちのイイものなのだとナツの身体に教え込んだのは紛れもなくこの男で。


「……ジェラー、ル……っ」


三本目の指が内部を這いまわる。奥の一点をぐりぐりと擦られて、うまく息ができないくらい身体が委縮する。


「あ、くっ……は、あぁっ、ぁッ」

「ナツ……」


指を引き抜かれた感覚に身震いし、ついで宛がわれた熱い塊。待ちわびたそれに内部が収縮するのを感じて、ずぷ、と侵入してきたものを喜んで呑みこんでいく。途端に背筋を駆ける強烈な快楽。一瞬白んだ意識は、ジェラールが律動を始めたと同時に戻った。


どさりとベッドに沈みこむ身体。繋がったまま体位を変えられたのだと気付く。その間にも腰を打ち付けられて、そのたびに口からだらしない声が出る。口端を伝う唾液を気にしている余裕もない。気持ち良くて堪らない――。

こんなにだらしない姿を曝け出しているのに、ジェラールは可愛いというのだ。


「ナツ、……っ」


愛している、と告げてくるジェラール。


「おれ、も……ぁ、ッ」


言うと、ジェラールの口元が緩みナツの身体がその腕の中に引き寄せられる。ふわりとした浮上感、重なる唇。掻き乱された身体が拾う快楽と、心が満たされる感覚にナツはそっと目を閉じた。











END













title=リビドー





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ