□vs 天然小悪魔!
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(まだまだ俺は修行が足りぬな…)

夜、自室で就寝の支度をしながら真田は今日のことを思い出していた。

危うく、理性を保てなくなりそうだった。
彼女の細く小さな身体を、想いのまま抱き締めたかった。

抱き締めて…そして…。


(…駄目だ!俺達はまだ中学生だ。節度をもって、健全な交際をするのだ。)

大切にすると、決めたんだ。

彼女が気持ちを受け入れてくれた、あの日から。


真田は目を閉じて、一度大きく深呼吸をした。
しばらく目を閉じていたがやがて目を開いて、布団に入り再び目を閉じて眠りについた。

しかしこの眠りが、真田に更なる試練を与えることなる…。






『真田さん…』


ん…竜崎…?

なんだ…?


『…真田さん…もっと近くにいってもいいですか…?』


な、に……?



『真田さん…』


!!


ちょ、ちょっと待て竜崎!

ど、どどどこに乗っているのだ!!


『真田さん…私のこと好きですか…?』


なっ!!

と、当然だろう!!



『だったら…キスして…?』


…っ……!!!


『ねえ…真田さん…』


まっ、待て!!

それ以上近づいたらー…!!





「駄目だ竜崎いいいぃいいいい!!!」


ガバッと起き上がったら、そこは見慣れた部屋。
桜乃の姿はない。

時計を見れば、針が5時よりも少し前を示していた。


「ゆ、夢か…」


(あのような夢を見るとは…!!くっ…これもおのれの弱さゆえ…!!)

真田は乱れた息を整え、額に滲んだ汗を拭い、布団から出た。


・・・



「お父さん、弦一郎はどうしたの?さっきものすごい叫びが聞こえたと思ったら今度は叫びながら腕立て伏せなんて…」


庭で叫びながら腕立て伏せをする真田。
真田・母は息子を不思議そうに眺めながら、居間で新聞を読んでいる真田・父に話しかける。


「邪魔はしないでやってくれ母さん。弦一郎は今こういう時期なのだ。」

「こういう時期?」

「男であれば、誰だって経験するものさ。」

「そうなの…。」


父母がそんな会話を交わしていることなど知らない真田は、家族が見守る中ただ必死に腕立て伏せを続けていたのだった。



【vs 天然小悪魔!】

(うおおおおおおお!!)(…だけどお父さん、あの叫びはご近所迷惑じゃないかしら…)(うむ…)



end
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