最強チーム編

□初めての練習試合
2ページ/3ページ




「よぉ、越前。お前ダブルスすんのか?」

「…不本意っスけどね」

「あぁ?こっちのセリフだっての」

「何だお前ら、仲悪いだーね?ま、何にせよ勝たせてもらうだーね」


第1試合目はダブルス戦。
切原・越前VS柳沢・桃城。


「二人とも頑張って!」

「「……」」


ベンチからの桜乃の応援。
こういうの結構いいな…と思いながらお互いダブルスのペアを睨む。


「おい、ミスるなよ越前リョーマ」

「あんたこそ」


そしてリョーマのサーブから始まったダブルス戦。

そして試合はどんどんと進んでいった…。




「ちょっ!」

「うわっ!」


──どてっ


同じボールをとろうとしたリョーマと切原は見事に衝突をする。


「おい!またかよ越前リョーマ」

「さっきのは俺がとれたっスよ」


今日何度目かの衝突事件。
切原とリョーマはまったく息が合わずに何度もとれるボールを逃していた。


「ひゃ〜ボロボロやん、コシマエたち」

「だ、大丈夫かなぁ…」


応援中の桜乃と金太郎も、はらはらと二人を見守っている。


「思った以上にボロボロだーね、あの二人」

「はは、越前っすから」


ゲームカウントは2-0。
大会ルールで3ゲーム先取で勝ちなので、あと1ゲーム取られたらリョーマと切原の負けである。

桃城はいつかの越前と自分のダブルスを重ねて苦笑いをした。


「あーくっそ!もう絶対入れさせねえっ」


切原が気合いを入れてサーブを打つ。


「このまま一気に決めましょ!」

「わかってるだー…ねっ!…っとと」


桃城の呼び掛けに柳沢は答えつつ切原の強烈サーブを受けるが、上手く返せずにボールが高く上がる。


「アウトだな」

「そうっスね」


明らかに入りそうにないボールを切原とリョーマは動かずに見送っていたが、ボールが落ちたのは…


──こてっ


「きゃっ」

「「!」」

柳沢のミスショットはちょうどベンチに座っていた桜乃の頭に落ちた。


「大丈夫か?竜崎…」

「あ、うん、平気だよ」


心配そうに金太郎が桜乃を覗き込む。
桜乃はそんな金太郎に笑顔で答えていた。


「悪いだーね、大丈夫だーね?」

「大丈夫ですよー」

「そっか、なら良かっただーね」


軽く当たっただけなので、実際桜乃に何も問題はなかった。

しかし。


「…俺らが大丈夫じゃないかもっすよ」

「ん?なんでだーね?」

「あれ…」

桃城の言葉に「?」を浮かべる柳沢。
桃城はなんとも微妙な表情をして相手コートを指差した。

柳沢が桃城が指を差した先に視線を向けると…


「アンタら…潰すよ」

「You still have lots more to work on ...」


一方は赤目で不適な笑みをうかべ、一方は無我のオーラを存分に醸し出している。

かなりド迫力な光景にもはや柳沢は言葉が出ない。


「どうやらとんだ地雷を踏んじまったみたいっすね…」


それからのリョーマと切原は、さっきまでのちぐはぐさが嘘のようにナイスコンビネーションで桃城・柳沢ペアを撃破していた…。



・・・・・



「乾先輩、よろしくお願いしますっ」

「よろしく。君のデータは乏しいから、今日しっかり取らせてもらうよ」

「と、とるほどのものではないと思うんですけど…」

波乱のダブルスが終わり、続いてシングルスの試合。
シングルス2は桜乃VS乾。

「竜崎〜、頑張ってなあ」

「力抜きなよ、緊張しすぎ」

「無理すんなよ、気楽でいいから」

「は、はい」


桜乃を心配したチーム員からの激励に、緊張しながらも笑顔を返す桜乃。


「では、いかせてもらうよ」


乾がサーブを打ち、ついに桜乃の試合が始まった。

やはり男女の力の差は大きく、桜乃は必死にボールを追うものの、試合は乾がリードしていた。


だが。


「…えいっ…」

「…!?…」

(な、なんだこれは…)


桜乃の打ったボールはふわふわとまるで羽のごとくゆっくりと落ちていく。

あまりにふわふわ過ぎてラケットを振っても風圧でボールがラケットから遠退いてしまい、乾はボールを打ちそびれてしまった。


(今のショットは…)

まさか狙って打ったわけではないだろうが…。

(あまり…気にする必要はないだろう)

乾は気を取り直し、ゲームを続ける。

が、今度は…


「わっわわわわ…」

──どてっ

パァンッ!!


「なっ…」


打ち返すタイミングで桜乃は転び、転倒の勢いでボールの球威は今までの桜乃からは想像できないくらい強くなり、ボールは乾のコートに叩きつけられた。

速すぎて反応できずに呆然としている乾。


「あいたたた…」


転んでいた桜乃は起き上がって、キョロキョロする。


「あ、あれ?決まった…の?」


自分が転んだ後のことはわからない桜乃は、目の前で呆然としている乾を見て首を傾げた。


「竜崎って…もしかして結構やるんじゃね?」

「なんや、すげーやん、今のショット!」

「…ビギナーズラックってやつ?」


チームメイトの三人も桜乃のショットに感嘆をもらしていた。



「ビギナーズラック…」

乾は眼鏡を光らせ、解析を始める。

(初心者によって繰り出されるまぐれ当たり…つまり)

「…理屈じゃない!」

初心者の球はもはやデータ不能。

それから何度か桜乃のまぐれショットに苦しまされ1ゲームとられたものの、なんとか勝利をした乾であった。


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ