□My heart will go on.
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世界最大の豪華客船、『タイテニック号』。
そして今日は、タイテニック号の処女航海の出航日。
タイタニック号は無事に出航し、今は大海原を順調に進んでいた。



「…綺麗だなあ…」



大手企業の社長、ハリウッドスター…多くのセレブがタイテニック号の集まる中、そのタイテニック号のデッキにはまるで普通の一人の少女が海を眺めていた。



「桜乃、先に部屋に行っているからね。」

「あっ、はあい。おばあちゃん」



桜乃と呼ばれた少女は、祖母の言葉に返事をする。



多くのセレブたちが記念すべきタイテニック号の処女航海に招待されていた。
桜乃はセレブでも何でもないただの一般庶民であるのだが、桜乃の祖母の古い知己が、実は大手企業の社長であり、
その社長がどうしても予定が合わないというので、スミレにタイテニック号のチケットを譲った。

こんな機会も二度とないだろう…ということで、せっかくなのでスミレは孫娘の桜乃は連れてこのタイテニック号に乗ったのだった。








一方、ある一室では、青年が気だるそうにソファーに座って紅茶を飲んでいた。


「チッ…豪華客船の処女航海だとか、興味ねえっつーの」

「景吾ぼっちゃま…しかし旦那様がせっかくぼっちゃまに…」

「…ふん。余計なお世話だってんだ」


世界最大の客船である、タイテニック号の処女航海。
招待されているのは、世界の金持ちばかり。

この青年、跡部景吾も世界でも名の知られている大手企業、跡部財閥の御曹司であるのだが。


(婚約者選びにもってこい…な。はっ、馬鹿馬鹿しい)


跡部は父親に、この航海で『めぼし』をつけてこいと言われていた。

船の上にいるのは、大体がどこかしらのセレブの令嬢。
跡部のような、大手企業の御曹司に見合う相手を見つけるには、いい環境であるのかもしれない。


「…少し外の風をあびてくる」

「は、はい、ぼっちゃま。ディナーの時間までには…」

「ふん、わかってる」



使用人の言葉にぶっきらぼうに答えながら、跡部は部屋を出てデッキに向かった。




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