□桜乃お誕生日話集
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「誕生日おめでとうな、桜乃」

『ありがとうございます、白石さん』


1月14日。
桜乃の誕生日。
電話越しに言う「おめでとう」。
本当は直接言ってプレゼントを渡して…あの細くて華奢な身体を抱きしめて、甘い時間を過ごしたい。


そう簡単に会えない距離。

付き合うときに覚悟はしていたものの…もどかしいもんやな。



「…、桜乃」

『はい?』

「愛してるで」

『…!!』


愛の言葉を囁いた後、


「来年も、俺に祝わせてな」


口から出たのはそんな言葉。


不安、そして独占欲。

離れていると、厄介な気持ちが増していく。



『来年も祝ってくれるんですか?』

「もちろん。」

『ふふ、約束ですよ』

「あぁ、約束や。」

『えへへ、来年も楽しみです!』


約束がないと、不安になる。

きっと来年も、俺は同じ約束を言うのだろう。

安心するための、口約束。
嬉しそうな桜乃の声に、俺はほっとして笑みをこぼした。





【口約束、ひとつ。】

(そんなもの、要らなくなる日がくるのだろうか)




end

弱々しい白石くんです。
次の約束がないと不安な白石くん。遠恋で不安になるのは、女の子だけじゃないですよね。

だからって桜乃お誕生日話をシリアス風な話にするつもりはなかったんですが…なっちゃいました(--;)。

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