□幸せな二人
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「いいものが見つかって良かったね、竜崎さん!」

「うん!あのお店可愛いから、一度来てみたかったの。付き合ってくれてありがとう壇君!」


街に新しくできた雑貨屋から出てきたのは、山吹中一年の壇太一と青学一年の竜崎桜乃だった。まだ初々しい恋人同士である二人は今日、放課後に一緒に遊ぶを約束をしていたのだ。
桜乃の買い物に付き合っていた壇は、桜乃からお礼を言われてると笑って「どういたしまして」と答えた。


「次は、どこ行こう?」

「そうだなぁ、竜崎さん、お腹減っていない?」

「そういえば、ちょっとすいたかも」

「それじゃあ、このあいだ竜崎さんが食べたいって言ってたパフェのお店に行こうよ!」

「えっ、いいの?」

「うん、もちろん!だって今日は竜崎さんのお誕生日だから、竜崎さんの好きな場所に行きたいんだ」

「! 檀君…」


1月14日の今日は、桜乃の誕生日だ。
…ほんの数日前に、壇から告白をして付き合うことになった二人。
実はこの日が、付き合ってからの初めてのデートだった。
壇が今日のために用意していたプレゼントを渡すと、桜乃も嬉しさで笑顔を溢れさせた。
幸せいっぱいの気分のまま、二人の初デートは始まったのだ。


「…竜崎さんのお誕生日を一緒に過ごせるなんて、僕、本当に嬉しいよ」

「私も、壇君と誕生日を過ごせてとっても嬉しい」


壇と桜乃がお互いに見つめ合って、微笑み合う。
傍から見ても幸せいっぱいの可愛らしいカップルだった。

そしてそんな可愛らしいカップルを、影からこっそり見守る男が一人。


「うんうん。上手くいっているみたいだね、壇君。手くらい繋いじゃえばいいのにって思うけど」


この男は壇の先輩である千石清純である。
桜乃のことで、千石はよく壇から相談をされていて、今日が初デートだということも把握済みだった。
応援していた後輩の初デートの様子をこっそり見守ろうと、ついてきていたのだ。


「…おい、お前。こんなところでこそこそ何やっているんだ」

「ん?亜久津、いいところに!今、壇君の初デートを見守っているところでね」

「ああ?…お前、太一の邪魔をしていないだろうな…」

「やだなぁ、邪魔なんてするわけないじゃん!あ、ほら、お店に入ってくよ!」

「……」


千石の言うとおり、壇と桜乃は二人でパフェの店に入っていくところだった。
二人とも、幸せな笑顔を浮かべたままで。


「壇君、上手くいって良かったよね」

「…ふん」


千石と同様に、壇と仲が良い亜久津も桜乃についてはよく壇から聞かせれていた。
千石の言葉に亜久津は鼻を鳴らしただけだったが、壇と桜乃を見るその目には優しさが含まれていた。
千石はそれがわかって、亜久津に気づかれないように小さく笑う。
そしてふたたび、後輩とその恋人の幸せをこっそり見守りながら祈るのであった。



【幸せな二人】

(ねー亜久津、俺たちも中に入ってパフェ食べてくる?)(…ふざけるな)



End

碧水様からいただいたリクエストで壇桜で桜乃ちゃんお誕生日です。
二人で楽しくデートというシチュで書かせていただきました!千石や青学メンバーが目撃も面白そうと言っていただいたのですが、千石と亜久津になりました(^_^;)すみません。
しかも千石に至っては目撃ではなくついていって見守ってしまって…。
檀君と桜乃ちゃんのカップリングは本当に可愛いと思います!私も見守りたいなって思ってこうなってしまいました。すみません><
いろんな人に見守られて幸せな二人、という意味のタイトルです。
碧水様、企画へのご参加ありがとうございました!

2015.1.14

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