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□まだ早い?
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今日はブン太さんと一緒にテニスの練習。
なんて言っても、私なんか到底ブン太さんのレベルについていけるわけないから、一方的に教えてもらってるようなものなんだけれど。
「桜乃〜、何飲んでんの」
ベンチでの休憩中、私が飲み物を取り出して飲んでいると、ブン太さんが覗きこんできた。
「え?あ、これは近所のコンビニで買ったスポーツドリンクで…」
「ふーん。初めて見た。美味い?」
「はい。レモン味でスッキリしてておいしいですよ」
「へえ。じゃあ一口ちょうだい」
私が答える前に、私の手からペットボトルを奪って口をつけた。
「あっ…」
これってもしかして…間接キス!?
きゃーっ!!
どうしよう!!
そりゃ私とブン太さんは恋人だけど、でもまだ付き合い始めてそんなに経ってないし、手だってまだ繋いでないし、でもでもっ、間接キスなんて普通なのかな?
ううん、間接キスでもキスはキスなんだし…、とにかくまだ私たちには早いんじゃ…!!
「…ぷっ」
「!?…ブン太さん?」
「はははっ、桜乃ヤバい…おもしろすぎ」
「ええ!?ど、どうして…」
「だって桜乃、間接キスがまだ早いって…間接キスくらい早いもなにもねーだろ」
「え!!?」
すごーく嫌な予感が頭をよぎった。
「ま…まさか私…」
「ん?」
「声に出してました?さっきの…」
「うん。一人でブツブツ言ってた。聞こえてたけど」
う、うそ!!
恥ずかしすぎる……っ!!
「はははっ!腹いてえ〜〜」
「わ、笑いすぎですよブン太さんっ!」
まだ爆笑しているブン太さん。
う〜〜〜っ!
本当に恥ずかしいよう〜〜〜!!
「だ、だって…」
「ん?」
「だって始めてだったんですもんっ!か、間接キス…。」
半ばヤケになってブン太さんに訴える。
「心の準備とかっ…してなかったし」
「桜乃」
「はいっ?…っ!」
ちゅ。っておでこに口づけされて、一瞬思考が止まる。
「口にするのはまだ無理そうだから、とりあえずおでこ」
「ブ、ブブブブン太さ…」
今まさに心の準備の話したのにっ!!
「す、するときはせめて事前に言ってくださいっ」
「んじゃー、次はほっぺにする」
「え!?……っ!」
そう言ってブン太さんは、宣言通り私のほっぺにキスした。
「〜〜〜〜っ!!」
「ちゃんと事前に言っただろぃ?」
にっこり笑ってそんなこと言われて、私は何も言い返せなかった。
【まだ早い?】
(桜乃、顔まっか)(だ、誰のせいだと思ってるんですかっ!)
end