□愛のチカラ!
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「宍戸さんっ」

「…竜崎?」


今日は日曜日で他校と練習試合。
ウチの学校のコートを使って行うから、いつもの部活と同じように学校に来たら彼女である竜崎が来ていて少し驚いた。


「応援に来ました!」

「そっか。サンキューな!」


今日はいつも以上の力が出せるだろうな。
コイツが見ててくれるなら。


「宍戸さん、そろそろ準備した方がいいですよ」

「おう、長太郎!すぐ行く」


部室から顔を覗かせて長太郎が俺を呼んだ。
俺は長太郎に答えてからもう一度竜崎に向き直る。


「じゃ、俺は行くな」

「はい!…あ、宍戸さん、ちょっといいですか?」

「ん、何だ?」


竜崎はキョロキョロと辺りを見回してから、そろそろと俺に近づいて…

――ちゅ…


「…っ!?」

「し、試合…頑張ってくださいねっ」


真っ赤な顔でにっこり笑ってそう言って、パタパタと駆けていく竜崎の後ろ姿を、俺は頭ん中が真っ白の状態で見送っていた。
頬に、柔らかい感触が残っている…。

い、今、アイツ…

キスを…


「…宍戸さん?」

「っ!!!?」

「そんなとこで突っ立って何してるんですか?」

「あ、わ、悪い長太郎!今行く!!」


再び長太郎が部室から顔を覗かせて声をかけてきて、俺ははっと我に返り、急いで準備にとりかかる。


「宍戸さん、どうしたんですか?…顔が赤いですよ?」

「な、何でもねえっ!」


やべえ…

まだ顔が熱い…。


「長太郎っ!!」

「は、はいっ?」

「今日絶対勝つぞ!!絶っっ対勝つぞ!!」

「はあ…そりゃ勝つつもりですけど、」

「つもりじゃなくて、絶対勝つ!!」

「?…は、はい」


訳がわからない、というような顔をしている長太郎を無視して、俺はとにかく気合いを入れまくっていた。




【愛のチカラ!】

(跡部さん、宍戸さんが変なんですけど…)(アーン?ほっとけ)




end
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