頂き物
□眠り姫にはご用心?
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2人でいられる時間は貴重だ。
学校も別々な俺達は、ただでさえ共にいる時間が少ない。
特に、最近は生徒総会、学校行事とお互いに会える時間がほとんどなかった。
だから尚更貴重なんだ──ってことを、分かってんのか?こいつは。
──「分かってやってるのか、分からずにやってるのか……いや、こいつの場合、後者か。」
平日……氷帝学園の生徒会室でここの主はため息と共にそう漏らした。
豪華な革張りの茶色のソファー。
黒い木製のシックな机。
床には赤いカシミアの絨毯。
話を聞くだけではどこぞの豪勢な社長室を思わせるが、ここはまごうことなき氷帝学園の生徒会室である。
そして、ここの主である生徒会長跡部景吾は今、自分の居城で頭を抱えていた。
何故なら、来客用ソファーの上で、今まさに!眠り姫が寝ているからだ。
「たかだか数十分待たせただけだろうが。」
そう呆れなのか疑問なのか分からない発言を一つすると跡部は眠り姫こと、竜崎桜乃の長い三つ編みを軽く引っ張った。