キリリク

□繋いだままで
1ページ/2ページ




「きゃあぁーーー!ブン太さん離さないで離さないで離さないで〜〜〜〜〜!!」



「ちょ、桜乃。少しは落ち着けよぃ」




今日は桜乃とデート。

二人でスケートに来ている。



そんでもって桜乃は今日がスケートが初めてらしい。


まだ一人で滑れないらしく、俺にしがみついたまま離れない。




「大丈夫だって。ほら」



俺は桜乃にしがみつかれたまますいーって滑っていく。



桜乃は足をプルプルさせながら、必死に俺につかまって転ばないようにしている。



すっげえ可愛い。

可愛いんだけどさ。




「さーくの、とりあえず一回離して…」



このままじゃ桜乃が滑れるようになれない、と思ってとりあえずこの体勢をどうにかしようと試みたが



ぶんぶんぶんぶんっ!!



と、桜乃におもいっきり顔を横に振られて俺は苦笑した。




「な、桜乃、手ぇ繋ごうぜ?絶対離さないから」



「うぅ…手、ですか…?」


「そう。ほら、手ぇだせって」



「は、い…」



桜乃は俺にしがみついていた手を離して、俺が差し出した手をしっかり握った。



「ぜったい、ぜーったい、離さないでくださいね!」


半泣きの状態で懇願してくる桜乃。



「わかってるって」



俺は桜乃と手を繋いでない方の手で、桜乃の頭をポンポンっと撫でて、安心させるように笑った。



「行くぜ」



「あっ…きゃっ…」



「桜乃、俺の真似して」



「は、はいっ…」




俺たちはゆーっくりと滑り始める。

桜乃はぎこちないながらも、ちゃんと滑るカタチになってきた。




「そうそう、そんなカンジ。」



「う…」




桜乃はそろーり、そろーりと慎重に滑って行く。

だんだん滑り方も安定してきたようだった。




「そろそろ手ぇ離す?」



「駄目ですっっ!!!」




やっぱり一人で滑れるようになるのが一番の目的だと思ってそう聞くと、桜乃は即答してぎゅーっと力いっぱい俺の手を握った。





「でも、これじゃ一人で滑れるようになれないだろぃ?」



「い、いいんです!」



「え?いーの?」



「ブン太さん以外となんてスケートに行きませんからっ!」



「…ははっ」



必死に訴える桜乃のそんな言い分に思わず笑ってしまった。

ほんと可愛いこと言うよなあ、桜乃って。



「それならいいかもな。俺がずーっと手ぇ繋いでてやればいいんだもんな」



「…お願いしまぁす」



「お安いご用」





桜乃の可愛いお願いを、俺は快く受け入れる。




このままでいい。



絶対、離さないから。



手を繋いでいよう。



これからも、ずっと…な?





【繋いだままで】

(ま、桜乃がコケそうになったらすぐに支えられるしな?)(う…、お願いします…)






end

あとがき→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ