ドキサバ編

□砂に書いた想い
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全国から集められた選手たちが参加する強化合宿。
嵐による船の事故によって、島に流れ着いてからもう3日経つ。



お祖母ちゃんが見つからなくて落ち込んでいた私を、そばにいて優しくしてくれたあの人に


私は恋に落ちていた…。




「はあ…」



砂浜で1人海を見ている。

好きだって自覚してから、とたんにどうしたらいいのかわからなくなった。


会いに行きたいけど、あんまり行っちゃうと迷惑だし…、嫌われたくないし。



「仁王さん…」



砂浜に指で愛しい人の名前を書く。



「……」



そのとなりに私の名前を書いてみる。


そして…



「ひゃああ、何やってるの私〜〜!」



2つの名前の上に相合い傘を書いた瞬間、
その恥ずかしさに顔が熱くなる。


け、消そう!

恥ずかしすぎるっ!!






「な〜にやっとるんじゃ?」



「きゃああああ!?」



いきなり斜め後ろから声をかけられる。


独特な口調。


仁王さんだってことはすぐにわかった、のに、


驚きすぎて一番しなくてはいけないことをするのを忘れていた。



「……」



「あ…っ!!」



仁王さんの視線の先に気付いて、慌ててさっき砂浜に書いた文字を消す、

けれど…。



「み…見ました…?」



「バッチリ」



「見なかったことには…」



「ん〜、できんな」



「〜〜〜〜っ!!」



やっぱり〜〜〜〜〜!!



もうこうなったら逃げるしかないっ!!



そう思って立ち上がったのに…




「こら、逃げなさんなって」



「…っ!…わふっ」



腕をひっぱられて、仁王さんの胸に倒れこむ。



「おとなしく、お兄サンの話を聞こうかの〜、桜乃チャン」



「や、やです〜〜〜っ!」



「あ〜、はいはい。とりあえず落ち着きんしゃい」




仁王さんの腕の中で、ぽすぽすと頭を撫でられながら宥められる。

で、でも落ち着くなんて無理っ!


だってアレを見られたってことは…




「…まさかこんな可愛らしい告白されるなんてのう」



「!!!」



やっぱり、そういうことになっちゃうの〜〜〜!?



「…竜崎」



「〜〜っ!告白なんて…するつもりなかったんですっ!仁王さん、やっぱりなかったことにしてください〜〜!!」



「や・だ」



「うぅ〜〜…」



逃げようと思って腕の中で暴れてみても、離してくれる気配もない。




「だから、聞けって。…俺が、なかったことになんてしたくないんじゃよ。竜崎」



「えっ?」



どういうこと…?


意味がわからなくて、仁王さんの顔を見ると、仁王さんは少しだけ微笑んだ。




「…好きじゃからの」



「え…?」



「お前さんが、好きなんじゃよ、…桜乃」



「ええっ!!!?」




う、うそ……。



「なかったことに…なんて、させんよ…。せっかく、手に入れたんじゃから」



「に、仁王さ…」



仁王さんにぎゅうって抱きしめられる。


ほ、本当に両想いになれたの…?




どうしよう…、


嬉しい…。




心臓がすっごくドキドキしていたけれど、



私も仁王さんの背中にそっと手をのばした。






【砂に書いた想い】

(そーいえば、まだ好きとは言われてないのう…)(!!)(…ちゃんと言うまで離さんよ?)(〜〜っ!!)





end

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