ドキサバ編

□Attractive girl
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「綺麗だなあ…」



日本から離れた場所にある孤島。
日本では見れない星座もこの島の夜空には輝いている。



広場に1人、竜崎桜乃は時間も忘れて満天の星空を眺めていた。




「…竜崎さん?」



1人の青年は少女の姿を見つけて声をかける。



「あっ、柳生さん」



「お一人で何をしているんですか?」



「星を、見ていたんです」


柳生に答えてから、桜乃は再び空を仰いだ。


柳生も桜乃と同じように空を見上げる。




「すっごく…綺麗ですよね」



「…そうですね」




ずっと眺めていても飽きないくらい…。



桜乃は自分が住む場所では決して見ることができない星空にすっかり心を奪われていた。



柳生はそっと見上げるのをやめて、隣の少女に視線を向ける。




「しかし…満天の星空よりも魅力的ですよ、…貴女は」



「…え?」



上に向けていた視線を隣の青年に向ける。



「今、何て言ったんですか?」



「何でもありませんよ」



星空に夢中であったことと、柳生の声が小さかったことで聞き取れなかった桜乃は、
もう一度柳生に尋ねるが、あっさりとかわされてしまう。



「?」



「竜崎さん、もう時間が遅いです。星空を眺めていたい気持ちはわかりますが、そろそろ小屋へ戻った方がよろしいと思いますよ。」



「あっ、…そうですね!」


改めて時間を確認すると、思ったより時間が経っていて桜乃は少し慌てる。



「…危険ですので、小屋まで送っていきましょう」



「あ…、すみません、柳生さん」



「いいえ、お安いご用ですよ」



柳生は桜乃ににっこりと優しい笑顔を見せると、桜乃も柳生に笑顔を返した。



(…本当に危険なのは、私なのかもしれません)


星空を見上げる可憐な少女…。



その姿が青年の瞳にどれほど美しく魅力的に映ったのだろうか。



今宵、紳士の中に生まれた微かな欲望は、

誰も知ることはないだろう。





【Attractive girl】

(純粋無垢ゆえに、危機感がなさすぎるのでしょうね…)





end

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