お題

□二回目のキス
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初めてのキスは、

思考が停止して、

何も、考えられなかった…。


「桜乃」

「……」

「おい、桜乃。何ぼーっとしてるんだ、あーん?」

「…あ、だ、だって!い…いきなり過ぎますよ!」



あの跡部さんと恋人同士になれてから1ヶ月。
突然すぎた、初めてのキス。
さっきいきなり抱き寄せられて、そのまま重ねられた唇。
何が起こったのか理解する前に、もう唇は離れていた。



「俺がしたかったからした。文句あるのか?」

「うぅ〜〜…だって!」


だって、だって、だって!
初めてだったのに!!


「何も覚えてないんですよ〜〜〜っ」

「あぁん?」

「いきなりすぎて!…思考が停止してたんです〜!」


うわ〜〜んと嘆いていたら、跡部さんは呆れた顔でため息をついた。


「…何を言うかと思えば、そんなことかよ」

「なっ!…『そんなこと』じゃないんです!大事なことですよ!?」


女の子にとって好きな人とのファーストキスは一生に一度の大切な思い出。
それなのに。


「どんなだったかとか…何も思い出せない〜〜〜!」

「…キスがどんなだったかが知りたいなら、何度だってしてやるぜ?」

「え!?」


わ、私が言ってるのはそういうことじゃ…!
って反論しようとしたら、跡部さんにぐいって引き寄せられて言葉が止まった。


「ほら、今度はちゃんと構えとけよ?」

「…!」


もう一度、今度はゆっくりと唇を塞がれる。


「…ん」


跡部さんの唇に私のが包まれる。

熱くて、柔らかい…。

その感覚に酔って…また思考が止まりそうになるのを、私は必死に堪えてきた。


「…っ、はあ…」

「…で、どうだったんだ?…キス」

「〜〜〜う、」


言えるわけない。
熱くて、柔らかくて…、甘かった…なんて。
恥ずかしい感想しか浮かんでこないよ…!


「わからなかったなら、もう一回するぜ?」

「!!…じゅ、充分ですから!もう!」


キスの味を知ったのは、
初めての次のキスだった。




【二回目のキス】

(あーん?ならちゃんと感想言えよ)(えぇ!だから、それは、その…)




end

お題配布元「確かに恋だった」様

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