お題

□ずっと見てたんだ、わかるに決まってる
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長いおさげを揺らしながら桜乃は、川で冷やしておいたタオルや飲み水を練習中の選手たちに配るために行ったり来たりを繰り返す。
もう桜乃は選手たちのマネージャー的な位置に定着していた。



「ええっと、…あと誰に渡していないんだっけ?」


選手たちはバラバラに散って練習しているせいで、桜乃は誰に水やタオルを渡せているのかあやふやになっていた。


「おい」

「あ…跡部さん」


キョロキョロとしている桜乃に跡部が近づいてきて話しかける。


「向こうに佐伯や不二たちがいたぜ。まだ水を渡してないんじゃないのか?」

「佐伯さんに不二先輩たち!まだ渡してません!行ってきますっ!ありがとうございました跡部さん」


教えてくれた跡部に笑顔でお礼を言って、水とタオルをもちたったった〜と佐伯たちの場所に行く。

(そういえば…なんで跡部さん佐伯さんたちに渡してないって知ってたんだろ?)

ふと疑問に思ったが、あまり深く考えずに目的地まで走っていた。



「やあ、ありがとう竜崎さん」

「いえ、練習頑張ってくださいね」



佐伯たちにタオルと水を渡し終え、とりあえずやることが終わった桜乃がまた来た道を歩いて戻っている。



「竜崎」

「跡部さん!さっきは教えていただいてありがとうございました〜」


さっきの場所に戻ると、まだ跡部がいたので桜乃はぺこりと頭を下げた。



「そんなことはいい。それより、ほらよ」

「え?」


跡部は飲み水の入ったボトルを桜乃に渡す。


「あ、あれ?私まだ渡してない方がいましたか?」

「ちげぇよ。お前の分だ」

「えっ!?私のですか!?」


まさか自分の分を跡部から貰えるなんて思っていなかった桜乃。


「あ…ありがとうございます」


驚きつつもその水を受けとり、じーっと水を見つめる。


「お前、昼からずっと働きっぱなしだっだろ。それを飲んで少し休め」

「えっ…」


確かに、跡部の言う通り桜乃は昼から休憩を入れずに働いていたが…


「跡部さん、よくわかりましたね。私が休憩していないことも、さっきの水を誰に渡していないのかとかも…」

「アーン?そんなの…」



跡部は一切躊躇も照れもなくきっぱりと言い放った。




【ずっと見てたんだ、わかるに決まってる】

(えっ、え!?それは一体どういう…)(フン、意味は自分で考えるんだな)




end

お題配布元:「確かに恋だった」様

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