最強チーム編
□最強チーム結成?
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ある一部のテニス関係者によって企画されたテニスの大会──
それは学校にとらわれず、自由にチームを組み出場し優勝を狙うという大会であった。
「うう…どうしよう〜!無理だよリーダーなんて…」
河川敷のテニスコートに悩める少女が一人。
「『リーダーでもやれば少しはしっかりするだろう』なんて…無茶苦茶だよお祖母ちゃん〜〜!!」
少女の名前は竜崎桜乃。
青学一年で女子テニス部に所属。
テニスを始めて一年すら経っていない初心者だが…
男子テニス部顧問で桜乃の祖母である竜崎スミレに強制的にチームのリーダーをやらされるハメになっていた。
『安心しな。リョーマにはチームに入るように頼んでおいたから。他の選手は自分で探しておいで』
(リョーマ君がチームにいることは心強いけど…他の選手なんてどうしたら…)
内気でおとなしく、しかもテニスが強いわけではない彼女にとって、他の選手を誘うなんてことは無理難題なのであった。
「チームは四人か五人で…少なくとも四人集まらなきゃ大会に出場できないんだよね…」
それならば、いっそ…
「…竜崎」
「きゃーー!?リョーマ君っごめんなさいー!!」
一緒に練習する約束をしていたリョーマが現れて、桜乃に声をかけたのだが、いきなり叫ばれてリョーマは一瞬ビクッと体を揺らした。
「…何あやまってんの?」
「な、何でもないです…」
言えない!!
いっそこのまま選手が集まらなければ大会出場しなくて済むなんてこと思ってたなんて…
せっかくチームに入ってくれたリョーマに悪いもん!!
なんてこと考えちゃったんだろ私!!
激しく自己嫌悪に陥っているおさげの少女の横目で見ながらリョーマは小さくため息をついた。
「ねえ。とりあえず練習しない?」
「あ、うんっ!ちょっと待って、」
すでに準備万端のリョーマの横で桜乃はいそいそとラケットを取り出して準備をし始めた。
「リョーマ君、あのね…」
「何?」
「チームに入ってくれて…ありがとうね」
「…別に。面白そうだったし。しっかりしなよね、『リーダー』」
「うっ…頑張ります…」
やっぱりリョーマ君がいることはとっても心強い…
頼もしいチームメイトのためにも出来る限り頑張ろう、と桜乃は心の中で決意をした。
リョーマと桜乃が練習を始めた頃、神奈川の立海大付属中では、男子テニス部が午前の練習を終えていた。
「赤也」
そんなテニス部の部室で、強豪テニス部の部長であり神の子と呼ばれるほどの圧倒的強さをもつ幸村精市が、後輩である切原赤也に声をかけた。
「何すか?部長」
「知っているかい?今度行われる大会のこと」
「大会…?ああ、あの自分らで好きにチーム組んでやるってヤツっすか?」
「そう。それでね、あのボウヤ…青学の越前君がチームを組んで参加するらしいんだ」
「へえ。越前リョーマが…って何でそんなこと知ってんすか?部長」
「蓮二から聞いたんだよ。ねえ蓮二?」
「ああ。俺も貞治に聞いたのだがな」
「あー、なるほど」
立海大テニス部の参謀と呼ばれる柳蓮二は、乾と親友であり、連絡を取り合っていたりする。
「それでね、君にそのチームに入ってもらいたいんだ」
………。
「はいぃ!?」
そのチームって越前リョーマがいるチームのことだよな!?
「な、何で同じチームに…!?どうせなら敵チームになった方が思いっきり潰せるんスけど…」
「愚問じゃな、赤也。一緒のチームにいた方が一緒いる時間が長いから弱点が探れるじゃろ?」
「そういうこと」
コート上の詐欺師という異名をもつ仁王雅治がキッパリと答えて、幸村がそれに同意する。
それはそうなのかもしれない。
けど…
「よりによって越前リョーマ…アイツとは絶対合わないと思うんスけど」
わざわざ同じチームになりにいくなんて…
と、切原が続けようとしたが
「嫌なの?…いい度胸だね、赤也」
ピシッ!!!
「…わ、…分かったッス」
(くっそ〜〜!やりゃあいーんでしょ〜やりゃあ!!つーか怖すぎ、部長…)
あくまで穏やかな言い方であるのに一気に空気が凍りつくような幸村の言葉に切原は了承せざるおえなかった。
「ふふ。…それじゃあよろしくね、赤也。」
「ああそうだ、赤也、そのチームは休日にここのコートで練習をしているらしい。」
柳が切原に一枚の簡略な地図を渡す。
「それとその越前のいるチームはリーダーは青学の顧問の孫で『竜崎桜乃』という女子だ」
「え?女子がリーダーなんスか?」
「ああ。青学の一年らしい」
「…ふーん?めずらしいチームっすね。一年の女子がリーダーなんて」
(まあどうでもいいんだけど)
要は越前リョーマのいるチームに入ればいい。
まあ断られる可能性もあるだろうけど、それはそれでいいか(ムカつくけど)。
別に一緒に組みたいワケでもねーし。
今日も休日だしとりあえずこのコートに行ってみるか、と切原は渡された地図を見ながら考えていた。
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