最強チーム編
□小さくて強い背中
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「あ、ボールが少ない…」
桜乃がリョーマ、切原、金太郎の三人とチームを組んで数週間が経った。
今日も、練習のためいつものようにチームで集まっていたのだが。
リーダーの桜乃はボールの残りをチェックして呟いた。
「ん?ああマジだ。ボールって結構消耗品だからなー」
切原が桜乃の上から覗きこんで同意した。
すると、リョーマと金太郎も近づいてきて同様の反応を示す。
「買いに行くんかー?ボール」
「そうだね…行ったほうがいいよね」
「誰が行くの?それ」
「ジャンケンだろ、こういうときは」
「1人じゃ大変ですかね?」
「じゃあ負けた二人が買いに行くってことで」
ここまで話がまとまったところで切原とリョーマは同時にハッとひらめいた。
(もし竜崎と二人で負けたら、デートっぽいかんじになるんじゃね?)
(もし残る組でも、竜崎と二人で残るんだったらオイシイ…)
どっちにしろ二人きりの時間を堪能できる。
これはチャンス!
「うん!じゃあジャンケンしよう」
「よっしゃ、じゃ行くでー!じゃーんけん…ぽいっ!」
同時に出された4つの手。
勝負は一回で決まった。
「「……」」
「あちゃー。負けたわぁ」
「買いに行くのは私と遠山くんだね」
ボールの買い出しは桜乃と金太郎に決まり、意気込んでジャンケンに臨んでいたリョーマと切原は胸中で項垂れた。
(なんでこうなるんだ!)
リョーマと切原はさっきのじゃんけんで自分がパーを出したことを心の底から悔やんだ。
(しかもこいつ(宿敵)と二人で残ることになるなんて…!)
「ほな、行ってくるわ〜」
「行ってきます」
金太郎と桜乃はにこやかにコートを後にする。
その姿を複雑な気持ちで見送りながら、リョーマと切原の二人は、はあ…とため息をついていた。
「あー、くっそ〜…何でお前なんだよ。残るんだとしたって竜崎と残りたかったぜ」
「その台詞、そっくり返すっすよ」
「んだと?…ときどき遠山のやつ、さりげなくいいとこもってくよな…」
「………」
「本人はなんもわかってないんだろうけどさ」
「竜崎もなんもわかってないッスよね」
これを期にあの二人が余計親しくなってしまうのでは…と若干不安を感じつつも切原とリョーマは仕方なく練習を始めていた。
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