□YOU FOOL ME
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「竜崎、間違ってる」

「えっ!?どこっ?」

「ここ。soccerがsaccerになってる。」

「ああっ!ほんとだ!」

「こっちも。三単現のsがない」

「あああ!気をつけてたのにっ」


「バカ」

「うっ…」



土曜日の午前中、滅多に来ない図書館で最近彼女になった竜崎と二人で勉強をしている。
昨日の放課後、委員会で図書室にいたら、竜崎が勉強をしているのを見つけて声をかけたら、竜崎のクラスで英語の宿題が大量に出て、少しでも減らそうと放課後に図書室に来たらしいことを知った。
俺は、チラ…と竜崎がやっていた宿題を見て、ちらほら間違いがあるのに気付いた。
英語苦手?と聞くと、竜崎はギクッとした顔で視線を逸らした。

…チャンス、だなんて俺に思ったこと、竜崎は知らない。

俺は次の日の土曜日に、英語を教えてあげるという口実で図書館に誘った。

そして、図書館で竜崎と隣同士で勉強をしている今に至る。



「…またスペル違う」

「えっ嘘!」

「文法は合ってるのになんでこんな簡単なとこで間違えんの。バカ」

「うう…」


文法は教えたら竜崎はすぐに理解した。
問題なのは、あり得ない数のケアレスミス。
これは勉強を教えるというか、間違いを気づいてあげるの方が正しい。


「竜崎、見直しして。一語書いたら見直しして。一文書いたらまた見直しして。」

「は、はいっ」


見直しなんて、俺はあんまりするタイプじゃないけど。
竜崎には絶対必要だ。絶対。

理解はしているクセに、ほんと勿体ない。


「終わったあ!」

「全部?」

「う、ううん…、終わったのはテキストで、あとプリント一枚残ってる」

「うわ。なんなの?そっちの先生。嫌がらせ?」

「ど、どうなんだろう…」

「とにかく、早く終わらせちゃいなよ」

「うん!」


新たな真っ白なプリントに取りかかる竜崎を横目に、そこまで多くなかった宿題をすでに終わらせていた俺は普段はしない自主勉を始めた。


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