短編

□帰り道、君の横
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大好きなリョーマ君と一緒の帰り道。
リョーマ君の少し後ろを私は歩いている


「リョーマ君、…やっぱり何か怒ってる、よね…?」

「…怒ってない。」


うそ!
絶対怒ってるよ〜〜〜!!

だってさっきから一度もこっち見ないし!
歩くスピードもいつもより速い気がするし!
全然しゃべらないし!!(それはいつもかも…。)



「……ねえ。」

「は、はいっ!?」


いきなりリョーマ君が振り向いて話しかけてきたからびっくりして声が裏返った。



「…さっき堀尾と、何の話してたの?」

「え!?そ、それは…」


言えない…!!
リョーマ君のこといろいろ聞いてたなんて!!


「……俺には言えないこと?」


リョーマ君の顔が更にむっとした。


「うっ……。」


私が真っ赤になってうつむくと、リョーマくんはひとつため息をした。


「…わかったよ。」

「え…」

「もう聞かないから。」


怒ったような、でも少し悲しそうな声でリョーマ君はまた前を向いて歩き出した。

リョーマ君…。
余計怒らしちゃった?

歩き出したリョーマ君、立ち止まったままの私。リョーマ君との距離が少しずつ離れていく。
なんだかこのまま、ずっと離れたままのような気がして。
私はリョーマくんを追いかけて走り出した。


「リョーマ君っ!」


腕をつかんでひきとめる。


「っ!…竜崎?」

「あのねっ、私…堀尾君にリョーマ君のこと聞いてたのっ!」

「…! 俺の、こと?」

「堀尾君、リョーマ君とクラス一緒だから…いろいろ知ってるかなって…」

「……。」

「リョーマ君のこといろい知りたくてっ…、でもそんなの恥ずかしくてリョーマ君に言えないし…」



私は顔を真っ赤にして無我夢中で言った。
そうしたら少しずつ気持ちも落ち着いてきて…。

…恥ずかしい!!!

落ち着いて考えるとすっっごく恥ずかしいこと言いまくってたこと気が付いて、
慌ててリョーマ君の腕から手をはなした。


「ご、ごめんねっ、あの…」

「竜崎。俺のこと知りたいなら俺に聞けばいいじゃん。」

「えっ?」


きょとんとしている私を置いて、またリョーマ君は歩き出した。


「えっ、あ、リョーマ君っ!待ってよ〜〜」


慌ててそう言うとリョーマ君は立ち止まって、
私が追い付くとまた歩き出した。
今度は私の横で、私のペースに合わせて歩いてくれている。
チラっとリョーマ君の方を見ると、さっきまでとは違って、なんだか少しだけ嬉しそうな顔をしていた。

…私の気のせいかもしれないけれど。



【帰り道、君の横】

(ほんの少しリョーマくんの顔が赤いのは、夕日のせい?)




end

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