短編

□天然少女の無意識な行動
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「ん〜、うっめえ〜!」

「ですね!すごくおいしいです!」


今日は彼女である桜乃と前から行きたかったケーキ屋に来ている。
お互い食いたいケーキを選び、同時に食べてその美味さにそれぞれ感嘆の声をあげた。


「やっぱ来てよかったぜ!ずっと狙いつけてたんだよな〜この店」

「ふふっ。そうですね!また来たいです」

「ああ。また一緒に来ようぜ!」

「はい!」


美味いケーキに、となりには大好きな彼女。
本当に最高の休日だ。


「桜乃の食べてるやつも美味そうだな」

「とっても美味しいですよ!」


桜乃は紅茶のシフォンケーキを食べている。


「俺次それ食べよ〜」


はなから一個で終わるつもりはないし。


「あ、一口食べてみます?」

「ん?いーの?」

「はい、どーぞ!」


そう言って、桜乃は自分のフォークで一口とって俺に向けてきた。

……。

これはいわゆる…アレか?
「あーん」ってヤツ?



「ブン太さん?食べないんですか?」

「いやっ、食う食う!」


俺はあーん、と口を開けてそれを食べた。
うわ、結構憧れてたんだよなあ〜。
こーゆー恋人っぽいこと!
ちょっと感動…。

たぶん、桜乃は無意識だろうけど。


「美味しいですか?」

「ん、うめえ!!」

「ですよね!」


まあ、桜乃に食べさせてもらったから、美味さ倍増かも。
よし、じゃあ…。


「俺のもやるよ」

「え?」

「ほら、あーん」

「あっ…」



俺も自分のチョコレートケーキを一口とって、桜乃の前にもってく。
そしたら、桜乃は赤くなった。
さっきまで自分が自然にやっていたことなのに。

ほんっと、可愛いよなあ。
桜乃って。


「あ、あの、ブン太さんっ」

「桜乃、早く」

「う、あ、あーん…」


控えめに口を開けて桜乃はそれを頬張った。


「どう?」

「お、美味しいです…」

「だろぃ?」


まだ顔が赤いままの桜乃。思わず笑みがこぼれる。


「な、桜乃」

「は、はい?」

「俺らさっきから注目されてるよな」

「え、えぇ?!」


あんだけ店内でイチャイチャしてれば、まあ見られるよな。
俺はずっと気付いてたけど、やっぱり桜乃は気付いてなかったみたいだ。


「ははっ!桜乃おもしれ〜」

「ぶ、ブン太さん〜っ」


真っ赤になって慌てる桜乃に、俺は我慢できずに笑ってしまった。
そんな俺に桜乃は怒ってるけど、だって桜乃から始めたんだぜ?
わかってんのかな、そこ。
相変わらず顔が赤い桜乃がいとしくて、俺の頬はゆるみっぱなしだった。



【天然少女の無意識な行動】

(俺は嬉しかったから、全然問題ないんだけどな!)







end

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