短編

□つないだ手と手
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「寒いね」

「冬だからね」


ずっと好きだったリョーマ君と恋人になれて3ヶ月。

今日はリョーマ君とのデート。3ヶ月経った今でも、やっぱり緊張する…。
今日は公園内をふらふら二人で歩いてるだけなんだけど。


「リョーマ君、あの…えっと」

「何?」

「う、ううんっ、何でもない…です」


言えない!
手をつなぎたいなんて!!
そもそも女の子の方からからそんなこと言うなんて、変…かな?

でも!
リョーマ君の方から手をつなぐなんて…、
考えられない!!


「はあ…」

「何なわけ?さっきから」
「あっ、ごめんね!何でもないの。本当に…」

「…ふーん?」


リョーマ君は立ち止まって、私の顔を見る。
うう…。
リョーマ君に怪しまれちゃったよ。


「…言いたいことあればはっきり言えばいいのに」

「う…」

「…何?」

「……手…」

「て?」

「……」

「……」

「お…大きいよね!リョーマ君の手!」

「…は?」



やっぱり言えなくて。
私は無理やり誤魔化してしまった。


「普通じゃない?」


リョーマ君は自分の手を見る。


「そんなことないよ!おっきいよ。」


ほら!って言って私はリョーマ君の手に自分の手を重ねた。

やっぱり全然リョーマ君のほうが大きかった。



「そりゃ、あんたと比べればね」

「う…。私は普通だもん。リョーマ君が大きいの!」

「ふーん」



私が頬を膨らますと、
リョーマ君は軽く笑った。


「手が大きい人って、背も大きくなるっていうよね」
「何それ。嫌味?」

「ええっ!?そんなつもりは…」

「冗談だよ」

「う〜…もうっ」


リョーマ君ってば
すぐにからかうんだから…。


「でも…ま、手は大きい方が都合いいかもね」

「え?」

「だって、ほら」

「!」


リョーマ君の右手が私の左手を優しくにぎった。


「竜崎の冷たい手…包むのが楽じゃん?大きい方が」
「リョーマ君…」

「行こ。竜崎」


リョーマ君は、そのまま歩き出して、手をひかれて私も歩き出す。
リョーマ君の右手に包まれた私の左手は、さっきまで冷たかったはずなのに、すぐに熱を帯びた。
それでも、リョーマ君は私の手を離さなかった。



【つないだ手と手】

(手だけじゃなく、顔も心も熱くなった!)





end

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