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□何度だってアイラブユー!
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「わぁっ、可愛いです!」
「うん、ほんとにすごく可愛いね。」
内装も凝っていて、メニューも女の子が好きそうなもので溢れているカフェ。
注文したパフェが運ばれてきてあまりの可愛さに声を出して感動すると、私をこのお店に連れてきてくれた鳳さんは、優しい瞳を細めて笑った。
中学生の頃に鳳さんと出会って、付き合い始めてから5年経つ。
私は青学の高校3年生で、鳳さんは氷帝学園の大学の1年生。
最近忙しくてなかなか会えなかかったんだけれど、今日やっと予定が合って一緒に出掛けるとができた。
私は土曜講座があって、鳳さんも午前中は講座をとっているから、会ったのはお昼過ぎなんだけど。
このカフェに来る前は、期間限定で開かれているテディベア展に行っていた。
それも鳳さんがチケットを用意してくれていた。
鳳さんはデートするときはいつも用意がきっちりされていて、素敵な日を作ってくれる。
五年間、いつだってそうだった。
「……鳳さんってすごいです」
他愛ない会話の途中、ポツリと呟くと鳳さんはきょとんとした顔で聞き返してきた。
「えっ?な、何が?」
「女の子の喜ぶようなことを、知り尽くしてるところがです」
「えぇ?」
私が真剣にそう伝えると、鳳さんは驚いたように目を丸くした。
「えっ、そ、そうかな……というか、どうしたの?急に」
「ずっと思ってたことです!」
「そ、そうなの?」
「はい!だって私、鳳さんと付き合い始めてから五年間、鳳さんとのデートは幸せな思い出しかありませんもん」
「!」
五年間、鳳さんとは一緒にいたけれど。
鳳さんのおかげで、いつのどのデートも、私の中で素敵な思い出を残してる。
「本当に女の子のツボを押さえてるっていうか……、すごいです鳳さん!今日も……話題のテディベア展なんてすごく人気でチケット取りにくいはずだし、このカフェだって女の子たちのあいだで流行ってる場所だし」
「そ、そう思ってくれてるなら嬉しいけど、すごいことじゃないよ」
鳳さんは少し困ったように微笑んだ。
「俺はいつも桜乃ちゃんが喜んでくれたらいいなって思ってるだけだよ。……でも今日は久しぶりだったから、ちょっと張り切っちゃったかな」
あはは、と照れながら優しい瞳で笑いかけてくれる鳳さん。
もう、そういう嬉しいことを自然に言っちゃうんだから。
付き合い始めた頃よりずっと大人っぽくなった鳳さんだけれど、ほんわかした優しい笑顔は変わらない。
ドキンと胸が鳴るのは、私がその笑顔に恋をしているから…。
「もう、鳳さんてば。…大好きです」
「え、えっ!い、今…なんて?」
もう今まで何度だって伝えてきた言葉だけど、鳳さんはびっくりしたように聞き返してくる。
聞き飽きた言葉かもしれないですよ?なんて言ってみれば、鳳さんは、聞き飽きるわけないよって返してくるから思わず笑ってしまった。
「聞こえてたんじゃないですか」
「うっ!……でも、何度だって聞きたいんだ…」
ちょっと拗ねたようにそんなことを言う鳳さんがとてもいとおしい。
……私も、何度伝えても足らないです、鳳さん。
小さな声でだけど、もう一度。
大好きです、鳳さん。
【何度だってアイラブユー!】
(鳳さんは少し照れながら、ありがとう俺も大好きだよ、って嬉しそうに笑って返してくれた)
end
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