AKAITOだらけのボカロ一家

□KAITOだらけのボカロ一家・その30
1ページ/2ページ

こんにちはー!三男カイトですー!
また毛ちゃんさんちに遊びに来て、ミクとお話しています。カイトはテレビを見てて、めーちゃんは毛ちゃんさんと一緒にお出掛けしてるんですって。
そうやってミクとお話していると、どこかで音楽が鳴りました。
いきなり鳴った音にビックリします。え、え? 今のなんですか?
鈴の音のような綺麗なその音はすぐに鳴り止みました。ミクがカイトに話しかけます。カイトは、手に小さな箱を持っていました。
「毛ちゃんからー?」
「うん、今から帰ってくるって」
小さな箱を見ていたカイトは、ミクの言葉に頷きます。二人とも、なんの話をしているんでしょう?
「なんのこと?」
「んー? 今ね、毛ちゃんが今から帰るって連絡くれたんだよ」
「ふぇ?どうやって?」
短く音が鳴っただけなのに、なんでそんなことが分かるんでしょう。短く音が鳴るのが、毛ちゃんさんが帰ってくる合図なんでしょうか。スゴいです!なんだか秘密基地みたいです!
毛ちゃんさんが秘密の合図を送ると、この家のどこかで音が鳴って、ミクたちに毛ちゃんさんが帰ってくるのを教えてくれるわけですね!かっこいいです!
そう話したら、ミクにすぐに首を振られました。
「んー…。カイトさんが考えてるのとは違うと思う」
「ふぇぇっ!……むー。じゃあどうやって?」
残念です……ミクたちが悪の秘密結社ジャスティスと戦う卑怯戦隊うろたんだーかと思ったのに。卑怯ブルーはかっこいいですよねぇ……オレもあんな風にかっこいいKAITOになりたいです。
「あれ、カイトさんって、携帯電話知らないの?」
「けいたいでんわ? 髪の毛が痛くなるのー!?やだー!」
「違うよぅ!カイトさんのばかー!」
「いたー!」
ぺちーん!ってお腹をたたかれました。い、痛い……少しへこんじゃったかもしれません。
けいたいでんわ? ってなんですか? 毛が痛くなる電話じゃないんですか?痛くなる毛が髪の毛じゃないってことですか?
「そのまんま、携帯できる小さな電話のことだよぅ!」
「あぁ!そうなんだ!」
両手を強く握ってぶんぶん振りながら、ミクが教えてくれました。でもなんだかちょっと怒ってる気がします。
「み、ミク? ごめんね?」
「もー!カイトさんは短いからいいじゃん!ミクの髪が痛くなったら、大変だよぅ!」
「ああ!それもそうだねー!ごめんミクーっ!」
「もーっ!」
ぷんぷん、って怒るミクにひたすら謝っていると、またあの音が鳴りました。またいきなりだったのでビックリします。
えーと、じゃあこの音は携帯電話の音なんですね。綺麗な音ですねぇ……
「今度はなんて?」
またミクがカイトに聞きます。カイトは携帯電話を見て微笑んで、
「お土産に、私たちの好きなものを買ってきてくれるって」
って言いました。ミクがそれにすっごく喜んでます。
「ほんとー!?やったぁ!」
「よかったね、ミク!」
「うんっ!」
ミクの機嫌も治ったみたいで嬉しいです。携帯電話ってスゴいんですねぇ。毛ちゃんさんの言葉が全部伝わるってスゴいと思います。
「携帯電話ってどうなってるの?」
「見てみますか?」
「いいの!?」
カイトに小さな箱を渡されました。小さすぎて壊しちゃいそうです。慎重に、慎重に受け取ります。オレの手元を覗き込んで、カイトとミクが教えてくれます。
「電話とか、メールとかしたり、カメラで写真撮ったり、ネットに行けたり、色々出来るんだよー」
「ふぁー!すごいんだねー!」
「さっきはマスターとメールしてたんです。着信があると音が鳴って光るんですよ」
「光るの!?カッコいいー!」
うろたんだーの通信機もペカペカって光りますよ。やっぱりミクたちがうろたんだーじゃないんですか?
「ねぇねぇ、ミクって大量生産ロボの操縦とか出来る?」
「無理ー!お兄ちゃんが裸マフラーも無理だからね!」
「えぇー……ガッカリ」
また怒られました。み、ミク。同じところを叩くのは止めてくれないかな。今メシッっていったんだけど。
「ねぇ!? お兄ちゃんが裸マフラーなんて出来ないよね!」
「う、うん。それはちょっと嫌かな……」
顔が赤くなったカイトが、困ったって顔をしてます。
「えぇー……じゃあオレが!」
「ダメー!!」
「いたー!」
脱ごうとするとまたたたかれました。そろそろ壊れそうです。
「み、ミク。もちょっと手加減してほしいなー」
「えー。むぅ、仕方ないなぁ」
ミクー!その素振り、全然手加減されてるように見えないよぅ!怖いよぅ!
大体分かったので携帯電話をカイトに返します。
「ありがとう!」
「いえいえ」
ニコニコと微笑むカイトに笑い返します。やっぱりカイトはちょっと兄さんに似てて綺麗です。
「カイトさんは携帯電話を持たないんですか?」
「ふぇ? んー、欲しいけど、マスターが買ってくれるかな……」
いつでもマスターとお話出来るなんて、すっごく素敵だと思うんですが、マスターが買ってくれるのか分かりません。欲しいって言ったら買ってくれるでしょうか。
「お兄ちゃんは携帯電話買ってもらってから、毛ちゃんといっつもメールしてるもんねー?」
何故かいじわるそうな顔をして、ミクがそんなことを言います。カイトは途端に赤くなりました。
「み、ミク!そ、そんなことないよ」
「えぇー? だって、最近毛ちゃんからメール来ないもん。行ってきますメールもただいまメールも全部お兄ちゃんに送られてるからー」
「そ、そんなこと……ないよ……」
カイトが真っ赤になってます。毛ちゃんさんからメールが来るのが嬉しいって顔です。やっぱりマスターからいっぱいメール貰ったら、嬉しいですよね。
「カイトも、毛ちゃんさんのことが大好きなんだね」
「!?」
あれ? カイトが真っ赤のまま固まっちゃいました。オレ、なにか変なこと言っちゃいましたか?
「オレ、変なこと言った?」
「んーん、言ってないと思う」
だよねー? カイトはどうしちゃったんでしょう?
「カイトは毛ちゃんさんからメール貰って嬉しいんだよねー?」
ねー?って言うとカイトはまだ真っ赤のまま、一回溜め息をついてから微笑みました。
「……そうですね。マスターからメールが来ると……嬉しいです」
そう聞いて、ミクと顔を見合わせて笑いました。よかったです。幸せそうなカイトを見たら、なんだか胸のあたりがほっこり暖かくなります。
「いいなー」
「……ありがとうございます」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ