AKAITOだらけのボカロ一家

□徒然ログ
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GWに仕事

髪はボサボサで無精髭を生やし、目の据わったマスターが、コーヒーを飲みながらボソッと呟きました。
「GWに遊びに行く奴、皆死ね!」
「なんて物騒なことを言ってるんですか」
世間一般では国民の休日による連休真っ只中の現在。毎日が休みのようなマスターは、こんなときに限ってお仕事です。しかもGW中に上げてくれと言われたものが、昨日だけで三件。それからも依頼は増える一方で、減る気配もありません。
いくらマスターでも、連日のようにそんなことがあれば疲れます。まあマスターの場合、仕事というよりクライアントの方と話をすることの方が苦痛のようですが。
「ったく、自分らは俺に仕事押し付けてのうのうと遊び呆けやがって……全部たぴぱんのアレンジにしてやろうか」
地味にスゴく嫌な嫌がらせですね……マスターならそれがたぴぱんだと分からないようなややこしいアレンジにしそうで、更に陰湿です。駄目ですよ、そんなことしたら。
「ますたぁ、頑張りましょー? オレもいっぱい応援しますからー」
連日マスターの作業用BGMとして歌い続けている三男カイトの喉も枯れてきています。かすれた声でそれでもニコニコと笑う三男カイトを見て、マスターは癒されたようです。
「よし! 頑張るぞー」
「はいー」
三男カイトの頭をぐしゃぐしゃと撫でてから、マスターはコーヒーを飲み干し立ち上がりました。三男カイトも、ホットレモンを飲み干してマスターに続きます。
「今日は親子丼ですよ。楽しみにしててくださいね」
カップを片付けつつ、そう言います。少しでも精をつけていただきたいので、良い鶏肉を買っておいたんです。食べて頑張ってくださいね。
「うん! 頑張る!」
強く拳を握ってやる気を見せる三男カイトの頭を撫でます。どんな歌が出来るのか、僕も楽しみにしてますね。
「親子丼……楽しみにしてる」
「……なんですか、その顔」
え、そんないやらしい顔をされるようなことを言ったつもりはないのですが。なんですか、一体。
「いーや? 別になんもー?」
「はぁ……?」
分かりません。なんなんですか。
マスターはいやらしい顔のまま笑うばかりです。三男カイトにも意味は分からないようで、顔を見合わせて首を傾げます。
「親子丼じゃなくて兄弟丼だよな、って言いたいんでしょ。この変態が」
「え、兄さん……」
いきなり来て何を……
……………!
ちょっ、そういう意味ですか!? この変態!
「いやぁ、親子丼でも充分美味しいぞー?」
「だー! 父さんまでいやらしい目で見ないでください! 変態!」
「あっはっはー」
「早く仕事に戻ってくださいよ!」
三男カイトと一緒に、部屋におしやりました。ああもう、なんてこと言うんですか! 親子丼を普通に食べられなくなるじゃないですか! 馬鹿!
「兄弟丼……食べるか?」
「に、兄さんまで何言ってるの!」
「はは、冗談だよ」
「……兄さん」
もう、冗談なら笑えることを言ってください!
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